英国のEU離脱が世界を駆け抜ける。6月27日東京で撮影(KAZUHIRO NOGI/AFP/Getty Images)

英EU離脱 専門家「中国経済が最も打撃を受ける」

中国李克強首相は6月27日、天津で開催されている世界経済フォーラム(夏季ダボス会議)に出席し、イギリスの欧州連合(EU)離脱問題について「英国EU離脱が世界金融市場を打撃するのは明かだ」、「世界経済の不確実性が高まった」、「各国は世界経済の安定化を確保するための措置をとる必要がある」と強い懸念を示した。

李首相は「中国は一致団結して安定するEUと、繁栄を続ける英国がみられることを希望する」、「現在経済はグローバル化から離れて、自分自身で経済発展を果たせる国はない。だからこそ、われわれは連携しなければならない」と強調した。

ブルームバーグの報道によると、多くの専門家は英国のEU離脱で、アジア各国の中で中国が最も大きな打撃を受けると指摘する。EU圏は中国にとって米国に次いで、2番目に大きな輸出先だ。英国の離脱で、英国経済だけではなく、EU圏経済の先行きが不透明になり、中国からの輸入が大幅に落ち込むことと投資の減少が予想される。また、中国国内経済の失速と資本流出の加速化などの問題も加わり、中国経済が一段と難しい局面を迎えるとみられる。

英国が国民投票で離脱派が勝利したことを受けて、24日と27日の人民元オフショア市場では、ドル買い・元売りが急増し、23日の終値と比べて、元は対ドルで約1.5%急落した。李克強首相は「長期的な元安が続かない」と発言し、元の更なる下落との市場関係者の懸念を払拭した。

中国株式市場は外国人投資家からの資金受け入れ規制で、主要株価指数である上海総合には下落があったが、大きな急落はみられなった。

一方、ブルームバーグによると、英国の投票結果で大きく混乱した24日の世界株式市場は、時価総額約3兆ドル(約306兆円)が吹き飛んだ。世界同時株安で、世界富豪ランキング上位400人の富豪は総額で1274億ドル(約13兆円)の損失を被った。

(翻訳編集・張哲)

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