この景気減速で、中国内外から景気刺激策の強化を求める声が高まっている。中国人民銀行(PBOC)は複数回の利下げを行い、PBOCの劉国強副総裁は更なる「反循環的調節」を行うと表明しているが(大紀元資料室)

巨大な政府と無駄遣いの政党をせっせとやしなう中国人

近頃「超肥大化した政府をせっせと養う中国人」という一文が、中国国内で大きな話題を呼んでいる。文中では、長い間一般中国人は重税にあえぎながら巨大な政府だけでなく共産党という一政党をも懸命に養ってきたが、共産党は国民の生活を守り福利厚生の充実に力を注ぐどころか、計り知れないほどの無駄な支出を繰り返していると指摘している。

 中国人は莫大な税金で 中国共産党という一政党を養っている

文中では、ある学者の話を引用しながら、中国の政府規模は巨大な上、8千万人もの党員を抱える中国共産党という一政治団体の支出も負担している。相当な数の党員は「党幹部」の厚遇を享受され、国民の税金で養われている非生産人員であることが問題だと指摘している。(訳注1)

  また欧米諸国を例に取り、こうした国々にも公務員は存在するが、政府はあくまでも一般国民を対象にサービスを提供するための機関であって、政府内部に 「党組織」は存在しないと説明している。当然そこには、中国のような「党の機関」や「党の宣伝機関」も存在しないため、米国の納税者は民主党や共和党と いった政党やその党員を養ってはいない。

共産党支部は中国社会のあらゆる政府機関や国営企業に付属しているが、こうした組織の存在意義は国民にとっては非常に薄い。なぜならこれらの組織は国民への公共福祉サービスや国の経済促進を目的としているわけではなく、ただの消費部門だからである。数千万もの党員が庶民とは比べ物にならない厚遇を受け、安泰な生活を送っていることで、一般中国人は重税に苦しむこととなり、社会全体にも効率の低下をもたらしている。

3月8日に発表された「中国政府の年間国家予算24兆元は一体どこから?」と題する一文の中では、中国人が生涯で納付する税金は莫大な額に上るが、中国政府の税収の内訳をみると、関税、消費税、増値税といった間接税からの税収が個人所得税からの税収をはるかに上回っていることが指摘されている。先進国では一般に、主な税収は個人所得税だという。

2014年、政治評論家の傑森氏は、共産党内部では2005年に早くも、党員1人を養うために約26人もの中国人納税者が必要であることを認識していたと語っている。

こうして中国人は、好むと好まざるとにかかわらず肥大化した政府機関をその血税で維持し続けているわけである。そして地方政府は財政収入が不足するときあるいはGDPの実績を作るため、しばしば転売を目的とした土地の強制収用が行われるほか(訳注2)、過酷な諸税や罰金が科せられてゆく。

 党政府機関は無駄遣いと贅沢に溺れている

また文中では、中国政府が巨額の予算を無駄に費やしていることも指摘している。例えばどこの政府庁舎もその地区の一等地に建設されている。メディアが公開した資料によると、どんな貧困地域でも総工費数千万元を投じた立派な政府庁舎を見ることができるという。

例えば2007年に竣工した済南市庁舎「龍奥大廈」は建築費40億元(約672億円)、床面積37万平米の豪華な建物だ。2003年に明らかになったことだが、江蘇省北部のある貧困県の通りに7棟の立派な建物があり、その全てはこの地区の政府庁舎だったという。

貧困地域として知られる河南省濮陽県の県政府が2002年から2004年にかけて3284万元(約5億5200万円)を投じて新庁舎を建設したという事例もある。

更に2012年にメディアによって暴露された陝西省の貧困地帯漢陰県では、たった36人のために立派なオフィスビルが建築された。また同年、河南省明港鎮の党委員会と明港鎮政府のため、3000万元(約5億400万円)を投じて豪華なオフィスビルが建築されたが、同鎮の2012年上半期の財政収入は約2000万元(約3億3600万円)に過ぎなかったことも明るみに出ている。

それら以外にも、共産党内部では公費での個人旅行、公用車の私用、公費での飲食接待といった暗黙の了解が横行している。この「三大公金流用」に消えていく税金が一体いくらになるのかを正確にはじき出すことは、もはや不可能に近いと文の作者が嘆いた。

 共産党体制を放棄しないと、問題の根本的な解決は不可能

ここで一番重要なことは、中国共産党が動かしている現在の政治体制下ではこの問題を解決すべがなく、この共産党体制自体を放棄する必要があるということだ。

(訳注1):共産党の支部は公的機関から中小企業まで、都市の町内会から辺ぴな山村まで中国のあらゆるところに存在する。唯一の目的は党の政策実施を監督することで、たとえそれが経済活動を抑制する政策であっても、そして政府部門とほぼ同様な権限を持っている。「党幹部」の地位は日本の公務員に近く、余程のことがない限りクビにはならず、社会保障も充実しており、退職してからも国庫から年金が支給されるなど、一生涯の生活が手厚く保障されている。このことから中国にはこういう「党幹部」を指して「吃财政饭(非生産的で、財政の予算で養われている)」という「税金の無駄遣い」や「税金泥棒」に近い軽蔑の意味合いを含む言葉がある。

(訳注2):中国における土地制度について、共産党政権が始まってから全ての土地が国有化されたことで、国土の所有者(地主)は国となった。そのため、土地の使用・賃貸・売買のルールは、国の都合で勝手に決められ変更される。例えば政府はしばしば農民に割り当てた(一種のリース)土地をタダ同然で強制的に収用し、10倍とも20倍ともいわれる値段でその土地の使用権を他に割り当ててぼろ儲けをする。まるで政府が地上げ屋となって土地ころがしをしているようだが、これを「土地財政」という。その土地使用権はその後さらに2回3回と転売され、最終的にはかなりの高値で不動産ディベロッパーの手に渡る。中国の不動産価格が高騰する原因の1つがここにあるが、こうした住宅を購入した中国人にとって本当に切実な問題は、何十年のローンを組んでやっと手に入れた住宅の土地使用権は、最長でも70年しか認められていないことだろう。

(翻訳編集・桜井信一/単馨)

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