ムーディーズは中国の信用格付けの見通しを「ネガティブ」に引き下げた(EMMANUEL DUNAND/AFP/GettyImages)

ムーディーズ、中国格付見通し「ネガティブ」に格下げ

世界格付大手のムーディーズは3月2日、中国の信用格付けの見通しをこれまでの「安定的」から「ネガティブ」に引き下げた。

ムーディーズは格付けの見通しを引き下げた三つの理由をあげた。中国政府の債務が引き続き増加していること、資本流出による外貨準備高の減少と財政緩衝力の低減、当局の経済改革を実行する能力に不確実要因があるとした。同社は政府債務が今後一段と増加し、国有企業などを含む中国経済成長に必要な改革のペースが緩めば、中国の格下げに踏み切ると警告した。

一方、ムーディーズは現在中国への格付けを最高から数えて4段階目の「Aa3」に据え置いた。国内貯蓄率の高さ、依然として世界第1位規模の外貨準備高を保持するなど、中国経済鈍化に対応する方法が残されているとの見解を示した。

香港経済学者の関焯照氏は、ムーディーズが中国信用格付け見通しを引き下げたことは、改めて国際社会の中国経済鈍化への懸念を表している、との見解を本紙に示した。中国の信用格下げが実施されれば、中国経済や香港経済に大きな影響を与える。中国の企業が他の国に対して、あるいは他の国の通貨で借金する場合、より高い利息を払わなければならないことになる。「このため、すでに資金調達困難で経営不振になっている一部の国内企業は、借金返済がより一層困難となり倒産する可能性が高まった」と関氏が述べた。

ムーディーズと同じく世界格付大手のフィッチ・レーティングスは中国の格付けを「A+」と据え置き、信用格付けの見通しについて「安定的」としている。しかし、フィッチ・レーティングスはこのほど、5日から開催される全国人民代表大会(全人代)に注目し、中国当局の中期的な経済政策についての透明度が低下し、または当局の構造改革の実施能力や意欲に対して国際社会の懸念が増せば、中国への格付け評価にマイナスの影響を及ぼすと示した。

ムーディーズが中国の格付け見通しを引き下げたことに対して、中国国営新華社通信や中国共産党機関紙「人民日報」は相次いで痛烈な批判記事を掲載した。

(翻訳編集・張哲)

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