中国企業の海外M&A 損ばかり? 「問題ない」3割=米NYT紙

中国企業による積極的な海外企業合併・買収(M&A)は、一見加速しているが、多くは投資タイミングの悪さが主因で結果的に損失を被って失敗している。2月17日米紙ニューヨークタイムズが伝えた。

現在まで、中国企業による大型M&A投資金額上位20件のうち、13件が石油など天然資源業界に関わるもの。その13件のうちの9件は、中国3大国有石油企業の中石化(シノペック)と中石油〈ペトロチャイナ)と中海油(CNOOC)が、他の4件は国有金属、油田サービス、化学と投資関連企業が主導した。しかし多くは国際原油価格の急落で失敗し損失を被った。CNOOCは2013年約180億ドル(約2兆340億円)を費やして、カナダのエネルギー大手ネクセンを買収したが、2011年に中国渤海で発生した原油流出事故やイエメン内戦による油田と加工施設の操業停止だけではなく、カナダ・アルバータ州にあるオイルサンド(油砂)からいかに原油を抽出するかに悩まされている。専門家によると、CNOOCはネクソンの買収で約50億ドル(約5650億円)の減益となった。

一方、金融・投資セクタ―に対するM&Aも順調ではない。国有大手銀行の一つの中国工商銀行は2007年に55億ドル(約6215億円)で南アフリカのスタンダード・バンクグループの20%の株式を獲得したが、このほど同社の株価はピーク時と比べて約50%下落した。同じく世界金融危機の前に、中国投資公司が米投資大手のモルガン・スタンレーとブラックストーンの一部の株式を取得したが、金融危機発生でいずれも失敗している。そのほか、国有企業の中国長江三峡集団によるとポルトガル電力会社EDP株式21%の獲得や、中国WHグループ(双匯集団)が約70億ドル(約7910億円)で米豚肉加工大手のスミスフィールド・フーズの買収もその後株価の大幅な下落で減益となった。

昨年中国企業による海外M&Aの規模は過去最高の1130億ドル(約12兆7690億円)となった。米調査会社のボストンコンサルティンググループの調査によると、海外M&Aを行う中国企業のうちの約32%だけが「問題ない」と認識した。

またこのほど、国有化学大手の中国化工集団が約440億ドル(約4兆9720億円)でスイスの農薬世界大手シンジェンタを買収した。中国企業による投資金額としては過去最大規模となった。「良い取引だが、しかし同時に中国化工集団が莫大な債務を背負った」とニューヨークタイムズは警告した。

(翻訳編集・張哲)

 

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