預金消失事件、中国で多発

銀行に預けているはずの定期預金が消えた」。にわかに信じがたいことだが、実際に中国で最近多発しているという。中国国内メディアが相次いで複数の被害例を報じている。

消えた2000万元以上の定期預金

中国浙江省の地方紙、銭江晩報が6日に報じたところによると、省内在住の5人が、約1年前に山東省農村部の金融機関「農村信用社」の同じ支店でそれぞれ定期預金を預け、最近、満期を迎えた預金を引き出そうとしたところ、信用社から5人の預金通帳は偽造されたもので、コンピューターシステムには該当する預金記録がないと告げられたという。

5人の被害額はそれぞれ800万元、670万元、226万元、500万元、127万元(1元は約19円)で、被害総額は2323万元(4億3800万円)にのぼる。同紙は、被害者が他にも多数いると報じている。

被害者はみな仲介業者から、居住地から遠く離れたこの山東省の金融機関の利息が5~6%と非常に高いという話を聞き、わざわざやってきて預金した。その後、銀行側が警察に通報し、公文書偽造の疑いで行員2人が警察に身柄を拘束された。5人の預金が保障されるかどうかについて、報道では言及しなかった。

5万元の預金が5千元に減った

別の中国メディアが11月29日に報じたところによると、安徽省毫州の女性が1年前に預け入れた5万元(約95万円)を引き出そうとしたところ、銀行から残高が5000元(9.5万円)しかないと告げられた。警察に通報しようとする女性を、銀行側は「独自で調査を進める」と言って止めた。だが1カ月たって女性が受け取った答えは、当時の担当者がすでに転勤しているため、解決方法はないというものだった。女性はその後、警察に被害届を出した。

一瞬にして20万元が消えた

6日には、陝西省のニュースサイト、華商網が次の事例も報道した。西安市の招商銀行に口座を持つ女性が、この銀行のオンラインシステムからログアウトした数分後、顧客情報の更新を要求する偽メールを受信した。女性がパスワードなどの情報を入力したところ、その直後に口座にあった20万元(約380万円)が全額、何者かに引き出された。

「何者かが引き出した」6200万元

3日には別の中国メディアが、浙江省在住の12人の被害を報じた。山東省浜州市浜城区の農村信用社で預金を引き出そうとしたところ、銀行側は、預金は1年前に降ろされており、彼らの通帳は偽造されたものだと指摘したという。被害総額は約6200万元(約1億2000万円)にのぼる。

銀行側は、12人全員の通帳の番号と銀行側の担当者名の両方が、実際には存在しないと説明、「自らの責任ではない」としている。

大紀元本部のコラムニストは「これらの預金失踪事件は、銀行内部のものが主犯である可能性が高い」と指摘、中国金融システムのセキュリティ管理のずさんさを問題視している。

(翻訳・桜井信一、編集・叶子)

関連記事
2023年5月25日に掲載した記事を再掲載 若者を中心に検挙者数が急増する「大麻」(マリファナ)。近日、カナダ […]
中国共産党が7月に反スパイ法を改正し、邦人の拘束が相次ぐなか、外務省が発表する渡航危険レベルは「ゼロ」のままだ。外交関係者は邦人の安全をどのように見ているのか。長年中国に携わってきたベテランの元外交官から話を伺った。
日中戦争の勝利は中華民国の歴史的功績であるが、これは連合国の支援を受けた辛勝であった。中華民国は単独で日本に勝利したのではなく、第二次世界大戦における連合国の一員として戦ったのである。このため、ソ連は中国で大きな利益を得、中共を支援して成長させた。これが1949年の中共建国の基礎となった。
香港では「国家安全法」を導入したことで、国際金融センターとしての地位は急速に他の都市に取って代わられつつある。一方、1980年代に「アジアの金融センター」の名声を得た日本は、現在の状況を「アジアの金融センター」の地位を取り戻す好機と捉えている。
米空母、台湾防衛態勢に 1月29日、沖縄周辺海域で日米共同訓練が挙行された。日本からはヘリコプター空母いせが参 […]