上海市副市長失脚 同市トップ、習近平陣営転向か

中国共産党中央規律検査委員会(中規委)は10日、「重大な規律違反があった」として上海艾宝俊・副市長(55)を取り調べると発表した。2012年末習近平体制発足後に失脚する上海市省クラス高官の1人目となる。最近、江沢民元国家主席の地盤である同市の政治情勢の変化が顕著になりつつある。兆候の一つには、江氏の側近とされる上海市のトップ、韓正・上海市委書記(61)は習近平体制の改革や汚職撲滅運動を支持する発言を繰り返し、習近平擁護の姿勢を明確にしていることだ。

中規委が公式サイトで艾宝俊・副市長の失脚発表直後、韓正氏は同市幹部内部会議で「固く中央の決定を擁護する」と表明し、同副市長への調査は「習近平指導部が腐敗撲滅運動を深く推進する強い意志を現している」と発言した。

上海市主要幹部らの腐敗を告発したことで「国家機密漏えい」などの罪で3年間の懲役刑に服役した同市在住の弁護士・鄭恩寵氏は大紀元本部の取材に対し、「艾氏は韓正・市委書記、江沢民氏の息子2人と『切っても切れない』関係にあり、今後の取り調べで、上海市の汚職の実態が明らかになっていくであろう」と述べた。

中国メディアの報道などからみると、共産党の重要会議、第18期中央委員会第5回総会(5中総会)が10月29日に閉幕してから、韓正氏の習近平サイドに転向する姿勢が明確になった。その一連の発言をまとめた。

10月30日、5中総会閉会の翌日、市幹部に会議の主旨を伝達する会合で、「習近平総書記の重要談話の主旨をしっかりと汲み取ることは非常に大切だ」「これまでにあった非協力的部分を改善し、中央指導部が上海に託した重責をしっかりと果たす」と述べた。中国問題専門家は「非常に意味深な言葉だ」とみている。

10月31日、「第27期上海市長国際企業家諮問会議」主席との会談で、「中央の指示に沿って、今後、一連の重大改革を実施していく。その範囲と深さは前例のないほどである」と述べた。

11月6日、市幹部研修プログラムの会議で、「習近平指導部の上海に対する新たな要求に従い、さらに勇猛邁進し、いっそう思想を解放する」と檄を飛ばした。また、習近平体制が進んでいる汚職取り締まりについては、「全員が平等で例外になる人はいない。監督をしっかりと受ける」と述べた。

11月8日、地方を巡視する指導部高官、李克強首相の元秘書で知恵ぶくろでもある国家発展改革委員会の寧吉喆・主任を迎える報告会で、「習近平指導部の国家管理と政治運営の『新たな理念、新たな思想、新たな戦略』をしっかりと認識し、改革の意識を強める」と述べた。

上海市長・市委書記を務めた江沢民氏と一族は同市で巨大な政治権力・ビジネスのネットワークを構築した。現職の韓正・市委書記、楊雄・市長は江氏の側近とされる。2012年の習近平体制発足後から、江沢民派の汚職高官を多数取り締まり、双方が熾烈な政治闘争を繰り広げるなか、韓正氏は終始両者の間で「行ったり来たりしている」と立場を明確にしていなかったようだ。

大紀元本部のコラムニスト夏小強氏は「5中総会後韓正氏が発した一連の習近平擁護の論調からみると、上海の経済と政治が大きな変化を迎える可能性が高い。江沢民派はいよいよ上海を支配できなくなる」と分析した。

 (翻訳編集・叶子)

 

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