偽のワクチンで8千人の命を救った医師

医学は高度な知識や技術によって人を救う学問であり、その知識をどう扱うかは人の倫理観、道徳観に左右される。世の中には偽のワクチンで人命を害する犯罪者もいれば、偽のワクチンで8千人の命を救った功労者もいる。この功労者とは、ポーランドの医師、ユージン・ラゾウィスキ(Eugene Lazowski)氏である。

第二次世界大戦時、ラゾウィスキ医師はポーランドのスタロバ・ボラという町で診療を行っていた。ある日、一人の男性が突然ラゾウィスキ氏を訪ねてきて、彼に助けを求めた。当時、数多くのポーランド人がナチスに連行されて強制労働をさせられており、この男性もその一人だった。男性は親族訪問のため2週間の休暇を得ていたが、休暇が残り少なくなるにつれ、強制労働収容所に戻りたくない一心からこのままどこかへ逃げてしまいたいという想いにかられた。だがそんなことをすれば家族を巻き添えにする恐れがあり、思い詰めた男性は自殺を考えるまで追い詰められていた。そんな時、ある特殊な病気に罹れば収容所送りを免れることが出来ると知り、ラゾウィスキ医師のもとへ相談に来たのである。

ラゾウィスキ医師は男性を助けるため、ある偽のワクチンを製造した。このワクチンを注射すると発疹チフスの陽性反応を呈することが出来るが、実際は病気には罹らない。偽ワクチンを接種した男性の血液サンプルをドイツの実験室に提出したところ、発疹チフスという強い伝染病に罹っていると判断され、収容を免れることになった。

▶ 続きを読む
関連記事
コーヒーは適量なら利点もありますが、過剰になると動悸、不眠、高血圧などの原因になる可能性があります。中医学の視点から、カフェインが体に与える影響と控えるべきサインを解説します。
首の痛みにカイロプラクティックは本当に効くのか。最新の大規模研究をもとに、効果が期待できるケースや安全性、他の治療との違いまでを丁寧に解説。迷っている人が判断しやすくなる実践的な知見をまとめました。
家庭にあるモノを芝生に撒くだけで、雑草の発芽を抑える効果があると専門家は説明します。化学除草剤を使わずに庭を守る自然な雑草対策を紹介します。
毎日の食卓に並ぶ魚やエビ。その可食部からもマイクロプラスチックが検出されたという衝撃の研究結果が明らかに。私たちの健康への影響は?知らずに口にしている現実と今後の課題を詳しく解説します。
子どもを守るつもりの行動が、実は自信や回復力を弱めていることがあります。心理学者が指摘する「過度な養育」の5つのサインと、子どもの自立を育てる関わり方を解説します。