食べたくなる旬の野菜
美味しい野菜とは
現在、野菜はどんな品目でも年間を通して出回っており、スーパーや八百屋、直売所などで手軽に買い求められるようになりました。私たちは、この状態を当たり前だと感じていますが、50年前の昭和30年代位までは、野菜は旬のものしか手に入らないのが普通でした。夏の時期は茄子、胡瓜、トマト、いんげん、枝豆などが主で、これらはすべて天候まかせの露地栽培でした。冬に収穫される大根、ほうれん草、白菜などが、夏に軒先に並ぶことはありえなかったのです。
昭和30年代後半からハウス栽培が盛んになると、一代交配のハイブリット種が開発され、あらゆる品目が旬の時期以外でも栽培されるようになりました。その流れは止まることなく、現在に至っては年間を通して様々な野菜を口にできるまでになりました。昨今出回っている野菜は、旬のものと施設園芸で無理に作られたものとが入り乱れているのが実状です。
食生活の多様化や料理の洋風化が、多種多様の野菜を求める原因になっていることは理解できます。しかし、旬の食材を使って季節に合った料理を作ることこそ、日本の食文化の原点ではないかと思うのです。
このコーナーでは何回かに分けて旬の野菜や果物を紹介します。選び方についても綴っていきたいと思います。
(杉本晃章・東京都杉本青果店代表)
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