謎の紙面

広東省有力紙、「真っ黒」な紙面に憶測飛び交う

 中国広東省の有力紙・南方都市報15日付けの最終面が、すべて真っ黒に塗りつぶされた。体制への抗議か、あるいはただの印刷事故か。ネットには、読者たちの憶測が飛び交った。

 中国は、大きな事件・事故が起きた場合、「社会秩序維持」の名目で共産党中央宣伝部(中宣部)がメディアを厳しく規制する。検閲部門が文章を黒く塗りつぶしたり、新聞社が「無言の抗議」として、白紙空欄のまま発行することはめずらしくない。 

 この真っ黒な紙面が出された日は、国連の定める国際民主主義デーだった。そのため、読者たちは「中国の民主化は陽の光さえ差さない暗闇だという意味か」などとささやいた。他にも「当局が敏感に扱う問題を取り上げたため圧力で消された」「大気汚染の報道か」「いたるところにも暗いニュースがあることを表す」などと勘ぐった。

 簡易投稿サイト・微博(ウェイボ)では、著名な俳優がこの話題を取り上げたことも相まって、15日には3500万人が情報をシェアした。

真っ黒な紙面は、栄養補助ドリンクの広告だった(ネット流通画像)

 翌16日、南方都市報はクイズの種明かしをする。謎の真っ黒は、栄養補助ドリンクの広告だった。前日同様に一面黒の見開きページに、「黒をめくってください」というキャッチコピーと、黒いパックのジュースが印刷されていた。

 多くのユーザは興ざめした。特に、国際民主主義デーに絡めた「ジョーク」ならば、過度であり、誤解を招く可能性があると批判した。

 同紙の編集者・鄢烈山氏は16日、「黒い広告は巧みな手法だった。意外なことに、ネットユーザの連想と想像をかきたてることになった」と米政府系ボイス・オブ・アメリカ(VOA)の取材に述べた。

 報道の自由がきわめて低いと国際ジャーナリスト団体から酷評される中国でも、果敢な姿勢で評価される南方都市報だ。ある読者は、「ことの重大さをわかっていない。注目されている新聞なのだから、こんな面倒を起こさないで欲しい」と期待を込めつつ、非難した。

(翻訳編集・頼程/佐渡 道世)

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