人権問題

習近平主席の訪米、「人権問題」を主要議題として期待

 米ホワイトハウスは16日、中国の習近平国家主席が今月25日に米訪すると公式発表した。米オバマ大統領との会談の議題について、南シナ海の人工島建設や米政府へのサイバー攻撃、中国経済の混乱などを取りあげると見込まれているが、世界的な威信を示すことのできる人権問題を主要議題にすることが期待されている。

 特に8月の米中人権対話以後は、米政府は重ねて「人権問題カード」を使い、圧力を強めている。中国政府は譲歩姿勢を示すことを狙ってか、14日、拘束していた人権派学者・郭玉閃氏を釈放した。郭氏の家族が15日、メディアに明かした。

 米国在住の中国研究者・何清漣氏は、大紀元への寄稿文で、重病で高齢にも係わらず拘束されている著名ジャーナリスト・高瑜氏についても「おそらく中国当局は『誠意』を示すために、釈放するだろう」と予想した。

 米政府は1日、中国政府に対し、拘束されている人権派弁護士・張凱氏や宗教活動家を解放するよう要求した。拘束された弁護士は、米外務省の国際宗教自由事務局サーパスタイン氏と面会する予定だった。

 国際人権団体ヒューマン・ライツ・ウォッチの研究者マヤ・チャン氏の話によると、張弁護士は主に、当局に禁止され迫害を受けている気功法・法輪功を弁護している人物として知られている。最近は、浙江省でキリスト教会の建物や十字架が当局に強制撤去されている問題に法的な援助をしていた。

 米パワー国連大使も国連施設で4日、中国や北朝鮮を含む20人の女性活動家の解放を求める運動を始めたことを発表。「人権は、オバマ大統領と習近平主席の会談で非常に大きな議題だ」と強調した。

 

 

人権対話で、中国体制を皮肉る米補佐官

 8月13日と14日には、米中の人権対話がワシントンで開かれ、米国のケリー国務長官と中国の崔天凱駐米大使をはじめ、両国の司法、安全保障、宗教担当などが出席した。

 米国は、7月初旬から中国当局に拘束された250人超の弁護士や活動家の即時釈放を求めた。一方で中国側は、米国ミズーリ州で白人警官が黒人青年マイケル・ブラウンさんを射殺する事件が起きたことを指摘した。

 対話会議を外交部の李軍華国際司長と共同で取り仕切ったトム・マリノフスキー米国務次官補(民主主義・人権・労働担当)が、上記の事件を質問した中国日報の記者に対して、皮肉を込めて回答している。

 事情を知る香港のジャーナリスト、フランク・チン氏がシンガポール有力紙に明かしている。マリノフスキー氏は、中国国内のメディアが、この事件を始めから終わりまでノーカットで長時間放送し、中国国民に「米国銃社会」問題を強く印象付けようとしていることに触れた。

 マリノフスキー氏は中国の人権制度と比較しながら、「国際的なメディアは、暴力事件をそのようには報じない。例えば、チベットや新疆のことも含めて。ましてや、ブラウンさんの弁護士を逮捕したり、暴力があった映像を撮影した人物を逮捕したりしない」と答えたという。

強気な姿勢を求める米有力議員

 米国の有力上院議員は8月11日、習氏の訪米時に人権問題を議題にするようオバマ大統領に要請した。ロイター通信によると、10人の議員グループは書簡に「習近平政権の下で、酷い人権侵害がある」と指摘した。グループは、上院外交委員会の民主党トップのベン・カーディン議員、上院軍事委員会のジョン・マケイン委員長(共和党)が中心となっている。

 対中関係を前進させるには、冒頭のような南シナ海の係争、サイバー攻撃、中国経済など、米国の国益に直接影響する問題よりも、人権問題を取り上げるよう提言するべきだと米主要紙は報じている。

 ウォール・ストリート・ジャーナルは3日、「人権分野で、強固な姿勢で北京の尊敬を得たヒラリー・クリントン前国務長官に習い、オバマ大統領は国際的な名声を持って人権弁護士への(中国当局の)恥ずべき扱いを公にしなければならない」と伝えた。

(翻訳編集・佐渡 道世)

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