文・中原

時の流れが変えられた

天津爆発事故は謎が多くて深い。問題の中核は爆発の真の原因だ。

大爆発は火災で起きたというが、その火災とは自然発火か、それとも放火火災だったか。これまでの情報を帰納すれば、後者の可能性が高い。

中国では管理不備で事故が頻発することは言うまでもない。しかし今回の事件は桁が違う。爆発の原因について、さまざまな説があるが、江沢民勢力に近いとされる海外の中国語メディアの消息が注目されている。習近平の更なる施策に釘を刺すために、江沢民勢力が仕掛けたという。犯行声明か恐喝のようなものだ。

慣例によれば、大事件が発生した後、李克強首相は速やかに現場へ赴き、救援活動を指揮する。しかし、今回は5日目になってようやく現場に姿を見せた。なぜそれほど遅れたのか。爆発の真の原因をある程度把握し、情勢を完全に制御できなければ、現場に行くのは危険で軽率な愚挙に過ぎないからだ。

事件後、習近平は強硬な発言をすると共に、異例な措置を多く講じた。8月10日の人民日報は論評で、引退しても引き続き政治に手を出す江沢民を暗に批判する。8月18日に行われた「中央全面深化改革領導小組」の会議で、習近平ははじめて「改革に反対する勢力」に言及し、頑固、凶暴、複雑なあの勢力に反撃すべしと言い放つ。8月21日、中共中央党校の正門にある、江沢民の書「中共中央党校」が刻まれた巨石が撤去された。江沢民勢力の腐敗官僚への取調べや起訴も加速している。これらはいずれもうわさの陰謀説を反証するものだ。

習近平に近い情報筋によると、天津大爆発により習近平と江沢民との対立・闘争が表ざたになった。習近平はこれまで江沢民勢力を徐々に取り除いていく戦略を取ってきたが、これからは速戦速決の戦法へ切り替えなければならない。さもないと、いつどのようなことが起きるかもわからない。その緊急対策として、江沢民および彼の息子に対し、当分、特別な措置をとったという。

江沢民を告訴する人が15万人余にもなり、欧米の多くの政治家たちも江沢民を逮捕し審判するように呼びかける現時点で、習近平がその民意と時勢に応じる可能性は否めない。時の流れがすでに変えられ、中国の政局や社会情勢が目まぐるしく激変する今、世界を驚かせる事がいつ起きても不思議ではない。閲兵式が行われる9月3日以後と、習近平の米国訪問後が注目すべき時点だ。

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