天津爆発 深刻な環境汚染
中国天津市の大規模爆発がもたらす環境汚染はたいへん深刻であることが浮き彫りになった。政府系メディアは、現場周辺から高濃度の神経ガスやシアン化ナトリウムが検出されたと報道している。また20日から、付近の河川敷で魚の死骸の大群が発見され、ネットでその現場写真が掲載された。
魚大量死の場所は、爆発地点から5~6キロ離れた、中国北部最大級の川「海河」への合流口である。中国メディアの取材に対し、付近の住民らは「このような事態はいままで一度もなかった」と話した。
このことについて、天津市環境検測センターの幹部は20日の記者会見で「原因を調査中」「海河の水を常時検測している、いまは安全基準の範囲内だ」と答えた。
当局は「汚染水は爆発現場に封じ込めている」としているが、政府系メディアは深刻な汚染が起きていると相次ぎ報道している。
国営中央テレビ(CCTV)は19日までに、北京公安消防総隊幹部の話として、爆発現場の空気中から高濃度の神経ガスと猛毒のシアン化ナトリウムが検出されたと伝え、「倉庫に保管されていた危険な化学物質の種類と量はともに想像を超えており、全容を把握できていない。予想できない危険はまだ沢山ある」と報じた。
中国共産党関連組織「共青団」の公式サイト「青年網」は20日、爆心地に出現した巨大な穴に溜まった液体から、安全基準の800倍のシアン化ナトリウムが検出された、と伝えた。
爆発後にはじめて雨が降った18日、市内の路上や川には「粘性が強く、なかなか消えない」泡が大量発生した。シアン化ナトリウムが水と化学反応を起こしたとみられる。
一方、爆発直後から、現地政府各方面からは「安全論」が出ていた。発生翌日、天津市環境保護当局は現場5カ所の観測結果として、「大気には異常なし」と発表。その後、市環境保護局の複数の幹部や副市長は続けて、土壌、水中、大気中のシアン化ナトリウムの濃度は「ほぼ正常」と宣言していた。
(翻訳編集・叶子)