天津爆発事故の現場で、消火活動にあたる消防隊員と兵士(FRED DUFOUR/AFP/Getty Images)
天津爆発事故

天津爆発事故 死傷者大幅増か、政府は報道規制

 750人以上の死傷者を出した中国天津の大規模爆発事故で、中国政府は報道規制を敷いている可能性が高い。実際の死傷者数も当局の発表を大幅に超えていると見られ、「社会の不安定要素」が明るみにならないよう、政府は情報封鎖を図っている。

 発表の信ぴょう性に疑問

 中国政府の発表では、13日午後9時までに死者は50人(そのうち消防隊員17人)、病院で治療中の負傷者は701人(そのうち重体70人)。数十人が行方不明。

 しかし、数字の信ぴょう性が疑われている。香港紙「蘋果日報」は警察関係者からの情報として、事故直後に現場入りした消防隊員と武装警官120人のうち4人の生存しか確認されておらず、死者は200人以上の試算、と報じた。

 消防当局の危険物質の消火に関する知識不足が、被害を悪化させたことも指摘されている。「南方週末」など一部の中国メディアは、消防隊が、水と反応する化学物質が有ることを知らずに放水を続けたことが、爆発の規模をさらに拡大させたと伝えた。2回目の大きな爆発で消防隊員が多数死傷したとみられる。

 中国国内インターネット上には、事故現場周辺一角に密集するマンションの住民が、大破した窓ガラスや散乱した家具など、爆発で生じた衝撃派による被害を撮影した写真や動画が流れた。住民にも多数の死傷者が出ている可能性もある。

 危険物質が流出か

 現地当局は13日夜、会見を開いたが、保管されていた化学物質や事故原因については、明らかにしなかった。一部の現地メディアは「(猛毒物質である)青酸ナトリウムが爆発後に下水道から検出され、外部に流出しているとみられる」「空気中から発がん性物質が検出された」などと報じ、環境汚染も懸念されている。

 中国では近年、各地で工場などの大規模な爆発事故が相次いでいる。昨年8月江蘇省の金属工場の事故で75人が死亡。現場の安全管理の不備が大きな問題となっている。

 天津爆発事故の報道規制

 問題が明るみになるなか、政府は情報封鎖を図っている。中国国内のインターネットでは13日、メディアを統制する中国共産党中央宣伝部の内部通達とされる文書が投稿された。事故の報道は国営新華社通信、共産党機関紙「人民日報」電子版、天津市政府の公式サイト「北方網」の情報のみを引用する、という報道規制を命じる内容だ。

 中国大手ポータルサイト「騰訊網」によると13日、負傷者が搬送された病院で取材中の米CNNの記者が、複数の男性に取り押さえられ、中継が止められたようだ。

(翻訳編集・叶子)

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