【生活に活きる植物】 50・万年青(オモト)

【大紀元日本12月30日】オモトは本州南部の暖かい山地に自生するユリ科の常緑多年草。全国で観賞用に栽培されている、代表的な古典園芸植物です。5~6月頃に下方の葉の脇から花茎を出し、肉厚淡黄色の穂状の花をつけます。秋に赤か黄色に熟す球状の果実をつけ、中に1~3個の褐色種子ができます。地下茎は太く短く、太めのひげ根が多数あります。根茎を堀上げて水洗し、天日乾燥したものが生薬万年青根(まんねんせいこん)、葉が万年青葉、花が万年青花です。

【学名】Rohdea japonica
【別名】老母草(おもとぐさ)
【成分】ステロイド強心配糖体(ロデイン、ローデキシンA,B,Cなど)、サポニン

 【薬用効果】オモトの全草に含まれる強心配糖体はジキタリスと似ているため、強心剤の代用として用いられますが、一般には使用禁止です。中毒症状は呼吸や循環機能の障碍、悪心、嘔吐、頭痛、不整脈、血圧降下を起こしてやがて心臓が停止します。また、サポニンは溶血作用があり、強心剤や利尿剤として有効ですが、有毒植物なので注意が必要です。葉の煎液は水虫、田虫に有効、外用としてのみ家庭でも使用されます。

【余談】オモトは蝸牛媒花(かちゅうばいか)といい、カタツムリやナメクジが花粉を媒介します。江戸時代には園芸が大流行し、オモトも多くの品種が生み出されました。愛好家によると、葉の美しさが茶道のわび、さびに通じ、禅の厳しさも兼ね備えているといいます。また、常緑であることから、縁起の良い植物といわれ、長寿の意も表しているため、正月の床飾りなど祝儀用の生花に用いられます。また、転居の時、人よりも先にこの盆栽を移しておくと、方位の難を逃れると言われています。

今回で、このシリーズは終わります。読んで下さった方々に、心から感謝いたします。どうぞよいお年をお迎えください。

オモトの花

(文と写真・ハナビシソウ)