離脱者、ついに1億人突破 中国共産党と関連組織から
【大紀元日本8月9日】大紀元時報が2004年12月に発表したシリーズ社説「中国共産党に関する9つの評論」(以下・九評)は、中国共産党の知られざる歴史事実を世に明らかにした。そして発表から間もなくして、大紀元に中共からの離脱を宣言する一通目の手紙が届いた。その後、中共およびその関連組織である中国共産主義青年団(共青団)と中国少年先鋒隊(少先隊)の3つの組織から離脱する宣言、すなわち「三退」の動きが中国全土で広がり、今月7日、離脱者はついに1億人を突破した。
離脱者数データを管理する全世界脱党支援センターによると、2010年10月の時点での離脱者数の内訳は、中国共産党からの離脱者が38.4%、共青団からの離脱者が22.2%、少先隊からの離脱者が23.7%、不明15.7%となっている。この割合から類推すると
全世界脱党支援センターによるオンライン即時分析システム
、離脱者が1億人を超えた現在、中国共産党からの脱党者数は3千万人ということになり、全党員8千万人の4割弱に及ぶ。脱党者の中には、中央政府官僚、各地方政府幹部も含まれており、脱党の動きは中国の各社会階層に広がっている。
三退する人は、大紀元時報のウェブサイトやファックス、電話などでもその意思を表明することができる。世界各地に支部を置く「脱党支援センター」の中国国内外のボランティアが、国際電話や街頭で中国人に対して、中共とその関連組織から離脱する重要性を説明している。
なぜ、三退をするのか
「九評」が発表されるまで、多くの中国人は中共に対して、ある種の幻想を抱いていた。きっと中共が「守ってくれる」というもので、不平不満を抱きながらも中共の改革に期待していた。しかし、「九評」によって国民は気づいた。つまり、中共は誕生以来悪事を尽くしてきたということ、そして、中共は「守ってくれない」だけでなく、その存在自身が問題の根源であるということを。
ならば、この党との関係をどう断ち切るか。中国問題の専門家で、米国在住の華人・章天亮氏は、中国人は流血よりも理性的な道を選んだと指摘する。つまり、中国共産党とその関連組織から離脱し、もっとも平和的な手段で中共を解体させるということだ。
近年、中国社会では対立が激化し、大規模な抗議活動が毎日のように勃発している。温家宝首相の政府報告書もこの社会問題を認めている。中共政権が社会の安定を維持するために費やす費用は年間6244億人民元(約7兆4900億円)に達し、軍事費を超えている。
「軍隊は国の安全を守るため、費用を必要とする。しかし、社会の安定の維持費用は政権を守るために必要となる。ならば、この政権の敵は一体だれなのか。国民である。一方、国民は中共をどうみているのか。国中に中共への不満や鬱憤が噴出し、多くの国民は体制崩壊を望んでいる。つまり高速鉄道の重大事故であろうと、その他の突発的な事件であろうと、国民は中共に対して堪忍袋の緒が切れる寸前の状態にある、ということだ」と章氏は分析する。
7月23日の高速鉄道事故の発生と当局の対応から、人命を粗末に扱い、真相を隠ぺいするという中共の卑劣な体質が、より露(あらわ)になった。そして、中国大陸の人々は一層その邪悪さを見極めた。
高速鉄道事故の取材を受けた曹静(仮名)さんは、ネットで伝えられる書き込みに同調しながら、このように語る。「この悲劇に傍観者はいない。高速で走行する中国という列車では、私たち全員が乗客である。誰一人として関わりを持たないものはいない。中国では食品の安全問題が後を絶たない。これに対応すべき政府は問題解決のための監督をしない。そのため庶民の衣食住には常にリスクが潜んでいる。このような現状から、誰一人として抜け出すことができない。みんなが現実を目の当たりにしている」
災難がやってくる度に、大勢の人が目覚め、そして、中共の本質をさらに見極めていく。麻痺、無関心な人も、災難が自分の目の前に迫っていると実感する。中国国民全体が根底から目覚めるその日は、もう遠くない。
中国の人権活動は脱党ブームを推し進める
三退の動きがますます世に広がる中、多くの中国人が自ら脱党を申し出ている。最近では、湖北省の黄岡市煙草公司の「維権」(合法的権利を守る)党員がグループで脱党を公に宣言した。脱党支援センターの責任者・李大勇氏は「これは新たなステップである。今後、このような集団での脱党は増え続けていくであろう」と述べた。
現在、中国国内では人権を求める活動が活発になっている。これらの活動は、民衆が自らの権利を守れる社会への第一歩である。しかし、多くの人権活動家はこれまで、九死に一生というような体験をしてきた。「彼らは最終的に、中共政権がなくならない限り、人権を勝ち取ることはできない、ということに気づいた」と李氏は指摘する。そのため、国内の一部の人権活動家は、従来の法的訴訟や陳情などの手段をやめて、どうやって脱党ブームを推し進めていくか、どうやって中共の解体を支援するかに転向している。「今後の人権活動には必ずこの変化が現れる。時間と命を費やして中共に変化を求め、無意味な犠牲を払うよりも、三退で自身の権利を守るという最も重要な一歩を踏み出す」と李氏は語る。
吉林市在住の劉さんは、家屋を強制取り壊しされた一人である。5年前から、北京市で中央への陳情を試みてきたが、迫害と制圧を受け続けてきた。彼は「実体験から、民衆を騙して迫害するという中共の邪悪な本性を十分に認識できた」として、幼少時に加入していた少先隊からの離脱を表明し、中共と完全に決別した。
劉さんは、「様々な運動を実際に体験して、中共は実は、自己宣伝しているような『偉(大)・光(栄)・正(確)』なものではないことがわかった。中国は法律社会と称されているのに、幹部の汚職はきわめてひどい。私は大勢の被害者のうちの一人に過ぎない。中共の宣伝はもう二度と信じない。今は、天が一刻も早くこの党に罰を下すのを望んでいる」と語った。
最近の脱党ブームの特徴について、李大勇氏は、「今年に入って、民衆は去年よりも中共を恐れなくなり、脱党を快く受け入れている」と述べた。その事例として、海外に旅行する中国人観光客に、本名で脱党する人が多いことを挙げた。韓国では、観光バスの中国人観光客が全員三退するケースもよくあるという。
国内では近年各種の抗議事件が頻発していることから、脱党支援センターのボランティアが国内に三退を勧める電話をかけると、数十人あるいは百人以上が同時に三退するときもある。まったく怖がらずに、心から喜んで脱党するという。今年3月、ニューヨークのブルックリン地区で脱党声援のパレードを行ったときも、脱党するために参加したとか、脱党の証明書をもらいに来たという参加者も数多くいたという。
今年3月、ニューヨークのブルックリン地区で9000万人の脱党声援パレードを行なわれたとき、脱党するためにパレードに参加したという参加者も多くいた(大紀元)
三退が未来の中国に与える影響
脱党の意義について、李大勇氏は、脱党はもっとも直接的で効率的、もっとも平和的に中共政権を解体する方法であると見ている。オセロの対戦に例えると、白は三退した人と三退を勧める人と仮定し、黒は中共とその関連組織に加入した人とする。三退はすなわち、白いコマが黒いコマに接触し、ボード上の世界が白く変わっていくことだ。これはまさに形から本質への変化の過程であり、中共の完全な解体を思わせるものだ、と李氏は語った。
さらに李氏は、「中国の長い歴史からみると、黒い雲が一時的に中国の大地を覆っていたに過ぎない。この黒い雲が追い払われると、中国の民衆は二度と中共の影響を受けなくなる。真の意味で独立かつ自由になっていく。普遍的な価値を有する国の民衆と同様に、人間の自由という基本的な権利を得られる。その状況において、彼らも今の世界中のほかの国のように、普遍的な価値観で生活し、仕事する。私が思うには、中華民族はそれで新たなページを開くことができる」と述べた。
米議会の232議案は中国民衆の脱党を支持
今年7月、米国上院議会の与野党議員が共同で232号決議案を提出した。中国国民の中共脱党を支持する内容である。世界のテロリズムの多くは中共と密接なつながりを持っていることから見ても、1億人が三退したことは、中国のみならず、世界においても重大な意義を持つ、と李氏は語った。