中国製造業の集積地・東莞市、倒産ラッシュ 「金融危機の時よりも深刻」

【大紀元日本7月23日】中国製造業の集積地として知られている広東省東莞市では最近、中小企業につづき、従業人1000人以上の企業の倒産も相次いでいる。専門家はこれから倒産ラッシュが始まると警鐘を鳴らした。

業界関係者は、人民元の切り上げ、人件費の高騰、原材料コストの上昇などが倒産の要因であると指摘した。また、インフレを抑制するため、当局が金融引締め政策を始めているのも、企業にとって大きな痛手であるという。今回の倒産ラッシュは3年前のリーマン・ショックのときよりも、状況が深刻だとされ、ここ半月、企業倒産または給与未払いの情報が急増している。

繊維系メーカー倒産

玩具メーカーの東莞市素芸玩具がその1つである。裁判所から破産宣告が下された同社は韓国系企業で、ぬいぐるみなどの毛織物メーカーとして、ピーク時には2000人以上の従業員を抱えていた。

同社従業員のインターネットでの書き込みによると、会社の収益はずっと良好に見え、賃金などの待遇もよかったという。会社倒産は中国人経営者からいきなり通知され、韓国側の経営者が夜逃げしたとも知らされた。

現在、従業員の2カ月分の給与未払いが問題となっており、19日にも200名の従業員が東莞市市政府前に集結し、問題解決を求めた。また、布地を同社に納める取引先は数十万元の代金を回収できていないと地元紙・広州日報に訴えた。

同社は設立20年ほどの現地の有力企業である。年間の売上は3千万ドルを超えていただけに、業界関係者はその突然の倒産にショックの色を隠せない。

また、地元の有名企業だった東莞市定佳針織服装有限公司は資金繰りができなくなったため、6月中旬に突然倒産した。2千人以上の従業員が職を失った。「金融引き締めと市場の変化で、みんな経営が苦しい」と、ある繊維系メーカーは広州日報にもらした。注文の減少に加え、多重の困難で経営を継続できない企業が続出し、最近では未払い給与を求める抗議活動も東莞市で多く見られるという。

業界関係者は、現地の約1割の繊維系メーカーが破産する恐れがあると指摘した。

他の業界も倒産相次ぐ

家具メーカーの大朗宏事達家具公司の杜大徳・副社長と30数人の従業員も一夜で職を失った。「すでに3カ月間給与をもらっていない」と本人は言う。工場面積が8000平米以上、最盛時は100人余りの従業員がいたこの会社は、米国への輸出が中心だった。7月11日、オーナーが工場を転売して、その資金を抱えて逃げたという。

「家具業界の利益幅は今年に入ってから10%縮まり、かなり経営が難しいのが実情」と杜さんは語った。

東莞市の塗料会社に勤める湖北省出身の田さんも、杜さんと同時期に失業した。8年間勤めた会社の経営者は従業員らの2カ月分の給料を未払いのまま、行方をくらました。田さんが地元労働局に行ったところ、同じ境遇に遭っている同郷が多くいたという。「繊維工場、おもちゃ工場などなど。みな給与未払い問題で行っていた。同郷会を労働局で開くことになるなんて」と田さんは苦笑いした。

専門家「金融危機の時よりも深刻」

東莞市の倒産ラッシュについて、市の紡績服装業界の陳耀華会長は「今年5月以降、EU、北米市場での需要が著しく減り、また、国内の融資環境も厳しくなった。人件費や原材料費の高騰、人民元の切り上げなどで、中小企業に大きな打撃を与えている」とその理由を述べた。現在東莞市の状況は金融危機の時よりも深刻だと指摘し、多くの企業はすでに経営困難に陥り、ちょっとしたきっかけで倒産する危険性を抱えている、と陳社長は語った。

中国の著名経済学者・厲以寧氏は、中国の9%台の経済成長と中小企業の倒産ラッシュは対照的で、出稼ぎ労働者の大量失業が、中国の経済構図をますます複雑化させていくと述べた。

(翻訳編集・叶子)
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