主要7河川、すべて汚染 「水危機」が中国の「繁栄」を脅かす

【大紀元日本6月7日】中国の主要7河川がすべて汚染問題を抱えている。3日に開かれた『2010年中国環境状況公報』の記者会見で、環境部(省)の李干傑次官が明らかにした。長江、黄河、珠江、松花江、淮河、海河、遼河の7つの河川のうち、華北を流れる海河は「重度汚染」、黄河と遼河は「中度汚染」、ほかの4つの河川は「軽度汚染」だという。

また、湖北省・湖南省・江西省における今年の大干ばつで、中国第一と第二の淡水湖、鄱陽湖と洞庭湖や、湖北省で最大の湖・洪湖が、歴史的な低水位を記録したという。この水位低下が「湖の水質や周辺の湿地、渡り鳥の生存などに影響を与えている」と李次官は説明した。また、水量の減少のため、湖沼やダムの富栄養化が進み、26カ所の観測対象のうち、富栄養化の湖沼(ダム)は42.3%を占めたという。

世界自然保護基金(WWF)もこの日、長江中下流域で続く記録的な干ばつにより、湖の水質改善などWWFのプロジェクト対象地100カ所で被害が出ていると発表した。

一方、中国の環境問題の第一人者・馬軍氏によれば、中国の600以上の都市の中で400都市が水不足に直面しており、そのうちの100都市は特に深刻な状況に陥る可能性がある。都市住民の水需要を完全に満たすには、年間水道供給量を400億立方メートル増やす必要があるという。

水危機」が中国の「繁栄」を脅かす

「中国は水問題を解決しないと、中国のストーリーも終わりだ」。著名投資家のジム・ロジャーズ氏が先日BBCのハードトーク番組でこのように語った。中国経済が直面するもっとも深刻な問題はほかではなく、「水危機」だと氏は指摘した。同時期に韓国紙・中央日報も中国の干ばつを「いつでも中国の経済成長をエンストさせられる『毒素』」だとした。

中国は世界人口の20%を占めながら、水資源は世界全体の7%しかなく、1人当たりの水資源は世界平均の4分の1となっている。「先天的不足」となる水資源の欠乏に加え、「水質汚染、水源破壊、水の浪費」といった人災も重なる。国内メディア・財経網のコラム作家・趙岩氏は、これらの人災は、中国の「GDP至上」の発展モデルに起因し、法律の不備や画一的な政策により拍車がかけられている、と指摘する。

中国の土壌地理学者の趙其国氏も、経済発展のマイナス効果を憂慮する。「中国の経済発展は成長率1位や外貨準備高1位など多くの1位を打ち立てたが、建材消費量1位、エネルギー消費量1位、排気汚染1位、汚染水排出1位など懸念すべき1位も多く記録した」という。

趙氏の2008年の研究によれば、中国は10年以内に環境問題を解決しないと、状況の収拾がつかない。一般的には、1人当たりの平均所得が8000ドルを超える時点で、環境汚染が問題となるが、中国の人口と自然条件で、2000ドルですでに環境危機期を迎えると氏は主張する。

北京工商大学グリーン経済研究院の季鋳・院長は、中国では、経済発展の進む場所は汚染状況も進むという図式が顕著であると指摘した。珠江河口や長江河口はその端的な例で、大量な工業廃水で深刻な汚染に直面している。特に長江河口付近の太湖は、周辺に建つ数千の化学製品工場から出る廃棄物により、有毒藻類(アオコ)が大量発生し、太湖を水源とする無錫市の200万人以上が飲用水源を失っている。「(太湖のように)東部の汚染はまだ充足の水資源で薄められるかもしれないが、西部の開発に伴う汚染はさらに深刻なものになる。重慶周辺が汚染されると、長江全体が危ない」と季院長は警告する。

一方、ドイツのTAZ紙は干ばつのなかの中国の不思議なスポーツを紹介した。水不足が国内トップの北京市の郊外に、19カ所の人工スキー場がゴルフ場の名義で建設されている。当局の「スキー場」禁止令をかいくぐった「対策」であり、法律法規を前に常に「融通策」が用意されているという中国の実情が浮き彫りになった。これらの「融通策」は水不足にさらに拍車をかけた。

「水だ、水だ、至る所に。なのに、飲める水は一滴もない」。イギリスの詩人、S.T.コールリッジ(1772~1834年)が『老水夫行』で唄ったこの詩は英語圏で中国の水危機を語るときにもっともよく使われるという。「文明は水に起源し、繁栄は水で終結する。人類の祖先は水源を保護することを知っていた。発展する中国はまだ気付いていないようだ。未来ではなく『いま』、水はすでに我々が直面する究極な難題と化している」。財経網の趙岩氏はこう訴えた。

(翻訳編集・張凛音)
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