「中国は日本に到底及ばない」 親共系テレビ、異例の批判「中国の調和社会は偽物」
【大紀元日本4月21日】中国本土に向けて配信されている中国語衛星放送フェニックステレビ(本部・香港)は、17日の経済トーク番組で、中国の人気経済学者・梁小民氏を招き、日中経済の類似点と相違点について論じた。梁氏と司会者の王魯湘氏は番組の中で、中国はGDPで世界第2位に躍進したと称しながら、国民の生活水準や社会的・文化的レベルでは日本には到底及ばないと言及。中国当局が主張する自称「調和社会」は偽りに過ぎないと指摘した。親共系メディアとして知られているフェニックステレビによる異例の中国当局批判について、米VOA放送は19日の報道で、中国の文化人や民間人が当局の国策や統治の方法に不満を見せている証しであるとコメントしている。
経済刺激策は「毎日麻薬を注射しているようなもの」
日本と中国の経済面における類似点と相違点に関して、梁小民氏は日本経済の政府主導型の特徴を引き合いに出して、中国経済を批判した。中国政府が行っている政府干渉型の経済は、経済発展のために毎日麻薬を注射しているようなものであり、表面的には栄えているように見えるが、実際は、寿命を縮めているだけだと同氏は指摘した。
「偽りの調和社会」
同氏はまた、日本経済について、経済成長に伴い国民の生活レベルと幸福感を向上させた点が優れていると言及。日本とは対照的に中国では、GDPを増長させたが国民の生活レベルは向上しておらず、「国営企業は腐敗し、民営企業は生産力に欠けている」と批判した。その結果、国民の平均的な生産能力は日本の10分の1にすぎず、環境破壊は日本の5倍以上深刻で、社会的な公平さについては、日本と比較できるような立場ではない、と指摘している。「4分の3の国民の収入が増加していない社会は調和社会とは呼べないし、幸福感のある社会でもない」という同氏と司会者の指摘は、胡錦濤政権が打ち出して来た「調和社会」や、今年に入ってからの「国民幸福感重視」というスローガンを批判しているようにも聞こえる。
「日本には到底及ばない」
番組で司会者の王魯湘氏は、昨年日本を訪れたた時の経験に触れ、日本経済は20年も停滞しているにもかかわらず、国民には心理的に崩れた様子が見うけられないと話した。国民の生活レベルをGDPより重視している日本経済の発展パターンから、日本国民の幸福感は、世界でも高い順位に入った経緯があるという。
一方、第二次世界大戦後の1950年代初め、中国人一人当たりのGDPと国民収入は日本の3倍だったが、現在中国は強国を目指しながら、国民の収入に対して重視しておらず、一般労働者の収入はかえって下がっている、と梁小民氏は指摘した。
最近、中国メディアで、毒饅頭(蒸しパン)、毒モヤシ、毒豚肉、毒ミルクなどの有毒食品事件が多く取り上げられている。混乱する現在の中国社会に対して、温家宝首相は最近、中国社会のモラル低下や信頼関係の喪失は深刻であり、国民のモラル水準はかなり低下していると批判した。フェニックステレビのトーク番組での「中国は日本に到底及ばない」と題する討論について、中国当局が中国社会の混乱を国民の責任にしていることに中国の文化人や民衆が強烈に反発している兆候である、と一部のネットユーザーは見ている。米VOA19日の記事は、中国の道徳的衰退の責任は共産党政権の腐敗と独裁にあり、このような政権下では、国民は信仰の自由を得ることができず、無神論者になっているため、伝統的な道徳観念を受け継ぐことができなくなったと指摘している。
今年、中国のGDPが日本を超えて世界第二位になったことが報道されて以来、中国国民の間で民族主義感情が高まっている。当局は、中国の躍進を実現させた現政権を維持するため、理由を見つけては、反体制者や言論に対する圧力を強めている。