東電社長会見「現段階では…」繰り返す 具体的説明なし

【大紀元日本4月14日】東京電力の清水正孝社長が13日午後、東京都千代田区の本社で記者会見した。

「心より深く、お詫び申し上げます」。会見開始時、清水氏らが深く頭を下げると、数百人の報道陣が一斉にシャッターを切った。原発事故から1カ月を節目として自ら話したいと望んだ清水氏。2時間に及んだ会見中、渋い表情を崩さなかった。

被災した地域住民への損害補償や、役員報酬を削減する意向を示したものの、時期や金額についての詳細は発表しなかった。また事故収拾策、社長の進退、上場廃止の可能性などについても「考える段階ではない」を繰り返し、説明は具体性に欠け、被災者らの不安を解消する会見内容とはならなかった。

清水社長は、原発事故が旧ソ連のチェルノブイリ事故とならぶ「レベル7」の評価を受けたことについて陳謝し、原発事故で被災した地域住民や農作物などに生じた被害の損害賠償金の仮払いを行う意向を示した。しかしその時期や金額など詳細については、「決まっている段階ではない」を繰り返した。

また事故の収束に向けた対応策についても、「一日も早い時期に対応策について示す」と述べるにとどまり、具体的な解決策は発表されなかった。

社長としての進退について清水氏は、「経営責任について現時点でコメントする状況にない」とし、原発問題の事故処理を最優先させるという。ただし、日本経団連副会長と電気事業連合会長の職は辞任する。役員報酬は4月分からカットするが、減給額などについても明確にしなかった。

今回の地震では、津波被害による対策が不十分だったのではないか、との記者からの指摘を受け、「ベストを尽くした」と述べるにとどまった。

以下は、清水社長の冒頭挨拶。

このたびの大震災により、被災された方々に衷心よりお見舞いを申し上げます。福島第1原発において放射性物質を外部に放出させるという大変重大な事故により、広く社会の皆さまに大変なご迷惑とご心配をお掛けしていることを、改めて心より深くお詫び申し上げます。

現在、国との調整をさせていただいている最中ではございますが、このたびの事故に伴い、避難を余儀なくされている方々に当面必要な資金を補償金の仮払いとしてお支払いすることについても検討しているところです。

福島第1原発につきましては、引き続き政府、自治体と緊密に連携を図り、各方面からのご支援もたまわりながら、事態の収束に全力を挙げて取り組んでまいりますとともに、被災された方々の支援に全力を尽くすことに加えまして、私どもの基本使命であります電気の安定的な供給に向けて全力で取り組んでまいる所存です。

*  *  *  *  *

清水社長は11日、福島原発のある福島県を事故後初めて訪問し、原発事故の影響を受けた県民たちに謝意を伝えている。「心身両面でご迷惑をかけて申し訳ない」と福島県庁に置かれた対策本部を訪問した際、記者の質問に答えた。

東電側はこれまでに何度も福島県の佐藤雄平知事に謝罪訪問を申し入れているが、断られている。11日も県側は、「震災後1カ月で犠牲者への黙祷(もくとう)などもあり、清水社長の訪問を受けると本部内が混乱する」とし、面会を拒否した。

清水社長は先月29日、体調不良で1週間入院し、同副本部長職は勝俣恒久同社会長に交代していた。今月7日に職務に復帰し、福島原子力被災者支援対策本部の本部長に就き、指揮を執っている。

(佐渡道世)
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