チュニジア革命は中国に波及?官製メディアに反旗を翻すポータルサイト

【大紀元日本1月18日】23年間続いたチュニジアの独裁政権は無名の若者の焼身自殺によって幕を下ろした。その背景に、政府に対する国民の根強い不満があった。高失業率、政府幹部の汚職、物価の高騰、言論の統制…チュニジアの現状のどれをとっても今の中国と重なる。これを意識したのか、新華社通信の公式サイト「新華網」は今回の騒乱を「犯罪者は強盗事件を起こし社会秩序をかく乱した」と報じ、問題の核心には言及していない。一方、ポータルサイトは「政府は民心を失ったため」と騒動の経緯を詳細に報道。官製メディアと民間メディアの報道姿勢は真っ二つに分かれた。

チュニジアの国花「ジャスミン」にちなんで、「ジャスミン革命」と呼ばれた今回の革命は、遠い中国で高い関心を集めている。ウィキリークスが2010年12月に同国の大統領一族の汚職や、市民運動の圧制などを暴露したり、アフリカで最も経済力のある国でありながらも、高い失業率と高物価が続いていることなどから、「チュニジアはまさに中国の縮図だ」と人々は驚く。

急転直下するチュニジアの情勢が中国に波及しないよう、中国政府は警戒している。新華網1月15日付の記事で、事件の発端や同国の社会問題に触れず、「犯罪者らは凶器を手に、憚ることなく、スーパー、民家を襲っている」と報じ、大統領の即退陣を求める市民を犯罪者に仕立てた。

一方、大手ポータルサイト「網易」では、「政府職員の横暴な公務執行で騒乱発生、大統領亡命」を題とする記事を掲載し、「政府職員は果物販売の青年に負けた」「警察はデモ隊に負けた」「大統領は市民に負けた」という見出しで、騒動の一部始終を報道した。

チュニジアの現状について、「卒業すなわち失業」と見出しを掲げて同国の実質失業率が52%に達したを報道し、また、ウィキリークスが公開した米外交公電で「警察国家」と見なされていることを紹介し、「政府はすでに民心を失った」と評した。

経済力があっても生活苦に陥る市民、高物価に高失業率、強権政治、人心を失った政府、どの言葉も今の中国に当てはまる。チュニジアと中国、接点の少ない二つの国がこれらのキーワードで結び付けられた。ネットユーザは「中国ではたくさんの焼身自殺者がいたのに…。中国人は意気地なしの代名詞だ」とやるせない心情を表す一方、「このまま続くと、中国は第二のチュニジアになる」「今の中国は巨大な火薬庫のようで、導火線の引火を待つのみ」と期待の声も寄せられている。

                       

(翻訳編集:高遠)

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