中国、エコカー開発を計画 技術譲渡の強要に外資系メーカーが反発

【大紀元日本9月24日】米国のジョン・ディンジェル(John Dingell)下院議員は22日、中国の張業遂・駐米大使宛てに書簡を送り、中国当局が中国市場への進出の条件として、外国の自動車メーカーに対して知的財産権である環境車技術を譲り渡す要求をする計画の考え直しを求めた。同議員は、(その計画を実行すれば)世界貿易機関(WTO)加盟国の一員である中国はその義務に違反することとなると非難した。

事の発端は、国家工業及び信息化部が9月上旬に発表した「省エネ及び新エネルギー自動車産業発展計画(2011~2020年)」の草案。中国国内報道によると、同草案では、中国自動車メーカーが2020年にハイブリッド自動車を代表とする環境車の開発・生産・販売台数の世界一を目指すと計画している。

同計画を目にした外資系自動車メーカーの幹部の話によると、中国当局は、外資系自動車メーカーに対して、中国市場に進出する条件として、最先端の電気自動車またはハイブリッド自動車の技術を中国側に譲り渡すよう求めている。9月16日付のウォールストリート・ジャーナル紙が報じた。

この報道によると、同「十年計画」では、中国政府当局が中国で電気自動車を生産しようとする外資系自動車メーカーに対して、少ない株式保有の形で中国自動車メーカーと合資企業を設立することによって、強制的に重要な技術を譲り渡すのを容認するという。

ウォールストリート・ジャーナル紙の取材を受けた外資系自動車メーカーの幹部は、「この計画は、中国政府が外国自動車メーカーに対して中国市場に進出する条件に、電池、電動モーターなどの生産技術管理権を強制的に放棄させようとすることに等しい」と述べ、外資系メーカーの知的財産権が侵害されるのを危惧している。

昨年米国を抜いて世界最大の自動車市場となった中国は、まだ世界有名自動車メーカーに勝てる自国メーカーを持っていない。ハイブリッド自動車や電気自動車への関心が世界中で高まり、需要も拡大している今現在、中国政府は中国自動車産業が世界的なリーダーになる良い機会だと考えている。国内自動車産業が一日も早く「世界のリーダー」になるために、中国政府はこれまで環境車に関する重要な技術を取得しようとしてきた。

中国国家工業及び信息化部によると、「省エネ及び新エネルギー自動車産業発展計画(2011~2020年)」の草案をすでに制定しており、各方面の意見を聴取してから国務院に提出するという。

同「十年計画」草案では、中国政府は自動車産業に対して、2015年までに新エネルギー自動車の初歩的産業化の実現、2020年までにハイブリッド自動車を代表とする省エネ自動車の生産台数の世界一を達成する、など具体的な目標を挙げている。

これらの目標を達成するために、「十年計画」を5年ごとに分け、二段階で実行するという。2011~2015年に、省エネ自動車産業を大いに発展させ、従来の自動車の燃費を向上させながら、ハイブリッド自動車の大規模産業化を実現する。2016~2020年、従来の自動車の燃費基準を先進国水準まで向上させ、大規模にハイブリッド自動車を普及させ、徹底的に電気自動車及びプラグインハイブリッド自動車の産業化を実現する。

さらに、この草案によると、中国政府は2020年までに世界的な競争力を持つ電気自動車及びハイブリッド自動車企業を3~5社と、動力である電池及び電動モーターなど環境車に必要な部品を供給するグローバルな企業を2~3社設立することを計画している。

外資系自動車メーカーに対して、同「十年計画」草案は、中国で環境車に必要な先端リチウム・イオン電池や高性能電気モーターを生産・販売する場合、中国企業との合資企業(ジョイント・ベンチャー)を設立しなければならないと定める。その合資企業の保有株比率について、中国メーカー側は51%を下回ってはいけないという。言いかえれば、「十年計画」が実行されれば、外資系メーカー側の保有株比率が高くても、49%しか許されず、現在、ハイブリッド自動車を生産する外資系メーカーに許される最高保有株比率の50%より低くなる。多くの外資系メーカーがこの計画に関して外資系企業への差別で、技術管理権喪失の恐れがあるとして、反発しているという。

(執筆・張哲)
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