党の指導層に腹を割って話そう! ネット伝言板「直通中南海」開通 発言に26のルール

【大紀元日本9月17日】スーパーに出かけている間に家が強制的に取り壊された。地元の司法部門に訴えたらかえって投獄された。上京して直訴をしようとしたら汽車の中で捕まえられ地元に戻された。そうした不正が日常茶飯事のように起きている中国では、民衆にとって一通の朗報が伝えられた。

共産党機関紙・人民日報の電子版「人民網」と中国共産党新聞網が今月8日、「直通中南海」と名付けたネット伝言板を開設した。トップページは、最高指導者が住む中南海の赤い壁にドアが開かれたイメージで、「人民の為に服務」と書かれ、胡錦涛国家主席や温家宝首相などの最高指導者や共産党宣伝部に国民の声を直接届けるとアピールしている。

BBC中国語サイトの報道によると、開設日から12日(日)の午後6時までに、国民から2・7万通以上のメッセージが送られてきた。そのうち、胡主席宛が1・6万通で、温首相宛が1・1万通だったという。

しかし、北京在住の曾金燕さんはこの伝言板に失望した。人権活動を理由に現在監禁中の夫の胡佳さんのために、「胡佳を釈放してください。異見者に寛容になってください」とのメッセージを書き、自分の名前を署名して送信のボタンを押したところ、「あなたには発言の権限はありません」とのメッセージが返って来たと、ツイッターでつぶやいた。

17日未明、筆者も同サイトにアクセスして、「海外から伝言を送る」ボタンをクリックして伝言を送ろうとしたら、開いたのはブランクページだった。

開設日から12日までの伝言は、「結婚したくても新居を準備できない」「腐敗は党存亡の危機、一刻の猶予もならない」など当局への怒りや腐敗批判の内容がほとんどだったと報道されていたが、17日未明にアクセスした時点では、トップページの「ネットユーザーからの伝言」の欄に呈示されているのは、「温総理、全国国民のために健康に気をつけてくださいね」「温総理、ご苦労様」や、「レアメタルの資源コントロールはまったく足りない。外国が中国のレアメタルを使って製造した武器に屈服する中国を見たくありません」など5つのメッセージが繰り返して流されている。

また、「党組織へのメッセージ」の欄に呈示されたのは、「わが党は中国を世界一の国に発展させ、全国民の幸福と福祉を実現させるために、大任を抱えている」「祖国の繁栄を祝おう」など励ますメッセージ一色だった。

「党に腹を割って話そう」と名付けられた伝言板のメッセージの下に、「全てのメッセージを読む」と書かれたボタンをクリックしたら、開いたページはやはり真っ白のブランクページだった。

一部のネットユーザーのネット上への書き込みによると、「直通中南海」で政府批判や敏感な話題の伝言を残した後、再びメッセージを送ったら、「発言の権限はない」とのメッセージが返ってくるという。

広東省在住の唐荊陵弁護士の話によると、13日夜、税務局に務める友人が、この掲示板でメッセージを送ろうとしたが、約30回もトライしても送信できなかった。書いた内容をその後メールで唐弁護士のところに送ってきたが、特に激しい批判の内容はなかったという。

伝言板で発言に関する規定を見ると、26のルールが規定されている。「国家の安全を脅かし、国家の秘密を洩らし、国家の政権を転覆させ、国家の統一を破壊し、国家の名誉を棄損し、民族団結を破壊し、社会秩序を撹乱する」などに関わる内容を禁じるという。しかし、「国家の秘密」とは何か、どんな発言が国家の名誉を損害し、国家の安全を脅かすのかの定義は呈示されていない。「トイレに行くことも国家秘密だ」とネット利用者らにしばしば揶揄されるほど、言論で罪を招くリスクは身の回りに常にある。

伝言は本当に最高指導者に届けられるのかとのネット利用者の疑問に、同サイトを開設した人民日報のインターネットセンター世論観測室の責任者は、「そのまま国家指導者に渡される仕組みになっている」と回答したようだが、中国大衆紙「南方都市報」の記者によると、開設日から今まで、高層指導者がメッセージに答えたケースは一つも見られない。同記者がこの点に関し質問したところ、「直通中南海」の管理者は回答を控えたという。

中国のインターネット事情に詳しいネット作家・安替さんの指摘によると、「直通中南海」伝言板は実際、人民日報と人民網が輿論観測のために考案したプログラムで、そこに送られた伝言が直接中南海の指導者らに渡されることはなく、輿論観測報告の形で上層部に呈示されることになるだろうとしている。そのため、伝言の内容について厳しい審査を行っているという。

(執筆・趙莫迦Zhao Mojia)
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