改革開放30周年スピーチ 胡主席、政治改革について 温総理と異なる言論

【大紀元日本9月9日】中国南部の深圳市が改革開放の窓口として深圳経済特別区となって30周年を迎えたのを記念するために、胡錦涛主席は6日、記念式典に出席し、演説を行った。1週間前に深圳を訪れた温家宝総理が明言した政治改革の推進について、胡主席はすこしも触れなかった。胡温政権内部の分岐として注目されている。

報道によると、胡錦涛主席は演説で「経済、政治、文化および社会体制の改革を推進する」と言及したが、しかし、その改革とは「中国の特色ある社会主義」という構造のもとで行うものであって、自由社会の三権分立的な民主制度とは雲泥の差がある。香港紙は、胡主席の演説は実質的な内容がなく、いつもの決まり文句にすぎないと批判した。

1週間前、温家宝総理は深圳を視察し、政治体制の改革を堂々と述べていた。そのため、胡主席はこの式典で正式に政治改革を行うことに言及するであろうと予測されていた。

胡温の間に見られた異常な温度差に対して、中国の独立派学者・趙達功氏は、胡主席は残り2年間の任期内で厄介なことを起こしたくないという考えの表れであると分析。「胡錦涛の演説は内容が乏しいし、新しい考えなどは一切ない。一方、温家宝は正々堂々と政治改革を唱えている。このねじれはおそらく中共の中枢部で政見が分かれたことを意味しているだろう」という。

一方、北京理工大学・胡星闘教授は、「胡錦涛と温家宝が政治改革についてどのように表現するかより、どう行動するかを見るべきだ」と述べた。

シンガポール系中国語紙・聨合早報8日付けの報道によると、用意された胡主席の演説原稿の中で、もともと「党内民主建設を積極的に推進し、党内民主を拡大し人民民主を推進する」との一行が書かれていたが、胡主席は読み上げる際、その部分を省いたようだ。

広東省の政治観察家で、中山大学哲学系元教授・袁偉時氏は聨合早報に「胡錦涛のスピーチはいつものようにはっきりしていなかったが、中央は深圳市の大胆な模索に対して今まで通り支持するとの発言は、人々に想像の空間を残している。内部ではどんな発言をしたのか気になる。これこそ肝心な部分であろう」と話した。

この問題を巡って、中国国内各メディアの報道ぶりにも温度差が見られる。広東省の政府紙・南方日報は6日、珍しく論説を掲載し、「政治体制の改革は深圳特区の今後の新使命」と主張した。少し前に政府報道機関の光明日報と中国青年報は、温総理の政治体制改革の言論に対して、深圳特区で政治改革を実行すべきではないと主張した。

中国国内の政府系メディア間でもこれほど調子が異なっているという点から、温総理の言論に対する中共の指導部およびメディアの意見が統一されていない、と推測されている。中国の学者・朱建国氏は、南方日報の社説は間違いなく。直前の光明日報と中国青年報への反撃だったと指摘している。

新華社ネットは6日、トップニュースとして胡主席の演説を掲載している。同時に、そのすぐ下に南方日報の特別論説も掲載されている。この論説は一時取り外されたが、午後になるとまたネットに復活した。

胡温間と政府紙間の異なるスタンスについて、これから向かう政権交代で、中共高層が政治、経済政策において「異常な不明朗」な局面に直面するだろうと一部の香港メディアは指摘する。

(翻訳編集・小林)
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