神韻オーケストラ指揮者 陳纓氏インタビュー:美しい音楽は苦難を越えて

【大紀元日本8月15日】 旧ソ連で「欧州第一の女性指揮者」と称されたカミラ・コルチンスキー氏(ロサンゼルス在住)は今年1月8日、米国サンノゼで行われた神韻公演を鑑賞後、娘のように若い陳纓氏の手を取り、興奮とともにその高い芸術性を絶賛した。

 世界一流の音楽家、演奏家、芸術家さえもうならせる神韻のパフォーマンス。その神韻ニューヨーク芸術団オーケストラの専属指揮者であり、今年3月の来日公演でもタクトを取って日本のファンを魅了した陳纓氏に話を聞いた。 

 「私の家は、まさに音楽一家なので、子供の頃から音楽に囲まれていました。隣近所や幼馴染みも皆、音楽をやっていたのです」

 陳纓氏の父で、神韻巡回芸術団オーケストラ指揮者の陳汝棠氏は、チェロ奏者であるとともに、かつて中国の中央交響楽団で指揮者を務めていた。フルート奏者である母の陳凝芳氏とともに、いずれも国家一級演員の称号をもつ両親のもとに生まれた陳纓氏が、音楽の道へ進んだのは極めて自然の流れであっただろう。

 5歳の頃から、毎日数時間に及ぶピアノのレッスンを受けたが、やがて母親の影響でフルートを専攻するようになる。上海音楽学院から米国へ留学し、フィラデルフィア交響楽団の首席フルート奏者ムーライ・パニッツ氏に師事した。

 95年頃、陳纓氏の弟・陳剛氏が法輪功(ファルンゴン)に出会ったことをきっかけに、陳剛氏の妻を含む一家5人が、法輪功の修煉を始めた。最も驚いたのは、30数年来の愛煙家だった父・陳汝棠氏が、法輪功の講法を聞いたとたん完全に禁煙できたことだという。

 しかし99年7月20日を境に、全てが変わった。ある日、突然家に押し入ってきた警察に、母と弟が強制連行された。母は1カ月後に戻ってきたが、弟はそのまま1年半も監禁され、想像を絶する拷問を受け続けたのである。

 米国公民となっていた陳纓氏は、その間、家族の救出に奔走した。姉の必死の努力の甲斐あって弟・陳剛氏は02年、魔窟のような牢獄を出ることができた。04年、米国で再会を果たした陳一家は、喜びと安堵のあまり、ただ抱き合って泣いたという。

 米国の神韻芸術団にフルート奏者として参加していた陳纓氏に、やがて楽団指揮者の大任が与えられた。

 「この大役が、果たして私に務まるのかと思いました。しかし、考えてみれば、団員は皆、一つの希望と理念のもとに集まった法輪功学習者なのです。全員が正念と善心を根本とし、自我を放下し、全身全霊をもって当たれば問題は自ずと解決します」

 涼やかな目元に、終始微笑みをたたえて語る陳纓氏は、美しい音楽そのものであった。

 

(記者・陳柏年、翻訳編集・牧)