社会対立は臨界点に 大規模国民反抗、爆発寸前 中共十八大前後か=独立派中国法学者

【大紀元日本7月5日】貧富の格差が激しく拡大し、それに伴う失業者の急増。無差別児童殺傷事件、従業員の飛び降り自殺、官僚殺し、ストライキ……不満の声が溢れ、異常な事件が相次ぐ中国社会は、これからどの方向に向かっていくのか。

北京大学元法学部教授で中国法学専門家の袁紅氷(オーストラリア在住)が海外中国語ラジオ放送局「希望の声」の取材に、今の中国社会のような貧富の両極化現象は歴史上極めて稀な現象であり、社会対立はすでに大爆発する寸前の臨界点に至っているとの見方を示している。中共十八大(中国共産党第十八回全国代表大会)が開かれる2012年の前後に、六・四天安門事件よりも大きな規模の民衆反抗事件が爆発すると同氏は予測する。

失業者数、3億から4億

中国政府が正式に公表している失業率は4.6%以内にあるが、一部のメディアの報道によると、中国社会科学院が公布した『社会青書』は、9.4%としている。一方、温家宝総理は3月22日に「中国の失業人口は、2億人である」と発言した。更に最近、中国の実際失業率は、およそ33%に達しているとの報道も見られた。実際の失業者数はどのぐらいになるのか、袁教授は、3億から4億人と見ている。

「まず、中国が発表したあらゆる統計について、われわれは往々にして正しく判断できない。現政権は虚言を以って独裁を維持しているので、彼らが発表したあらゆる数字は、水増しが多く、真実の数字とは考えられない。現在の社会現象や具体的な状況から分析すると、中国社会の失業率は世界で最も高いと推測できる。どうしてこのように推測するかというと、中国の国営企業の7割以上は破綻するか、株式化されてしまった。私が中共内部の高層筋から得た情報では、その部分でリストラされた労働者だけでもピークの時期は2300万人に達した」

「農村部の状況はどうなるのか。中国の農村部人口は少なくとも9億か10億人になる。しかし現有の土地生産力の実際のキャパシティは、それほど多くの人口を背負えるほど大きくはない。少なくとも3分の1は失業人口と考えられる。更にこの2年間は、退役軍人や大学生卒業生が仕事に就けない状況も顕著。数字からすれば、私は、中国社会の現在の長期失業者と短期失業者を合わせると、3億から4億人の失業者がいると推定している」

権力貴族主導の市場経済

また、党内の権力貴族が市場経済を主導している体制が、中国社会の貧富の二極化を深刻化させた原因だと、同氏は分析する。

「権力貴族主導の市場経済とは、腐敗の権力を軸に、金銭と権力との交易を潤滑油とした経済パターンである。この経済パターンの特徴とは、社会や、国、そして国民の財産をすばやい速度でごく少数の権力者の手に集めることである。その結果が、今すでに現れている貧富の両極化である。今後更に、今の状況が引き続き極端に発展していくであろう」

「天安門事件後、中国共産党政権は完全にマフィア組織になってしまい、徹底的に堕落腐敗した犯罪集団になっている。この政権の性質ゆえに、腐敗を以って絶えず社会の富みを獲得し続け、両極化はもはや最後の臨界点に向かっている」

準戒厳状態の中国社会 

6月13日、中国公安部は、7ヶ月間にも及ぶ「2010年の犯罪を厳しく打撃し、社会の整頓を行う活動」をスタートした。袁教授は、この治安維持活動こそが、中国社会全体が準戒厳状態にあることを意味すると指摘。

「犯罪打撃というのは、中共が政権樹立以来常にやり続けてきた常套的なもので、目新しいものではない。でも、調和社会と言いつづけてきたが、どうして今になって不調和になったのだろうか。そして、どうして厳しく打撃し、しかも7ヶ月間に及んで打撃活動を実施するのだろうか。この7ヶ月間は、実質、準戒厳状態である」

「それは何を意味しているのだろう。それは少なくとも2点のことを示している。一つは、いわゆる『調和社会』はもはや維持できなくなった。いま一つは、中共政権は空前の危機に陥っており、臨界点に至っているのだ。このような準戒厳状態でないと、中共の統制を維持することができない、というわけだ」

六四天安門事件よりも大きな国民反抗が爆発寸前

この臨界点とは、「極端な二極化により、89年に起こった天安門事件よりも大規模な、つまり全国民による反抗を孕んでいること」と同氏は説明する。

「これから起こる国民の一揆は、ソビエトと東ヨーロッパの元の社会主義の国々よりもはるかに激しく、全国民による反抗であるに違いない。時間をあえて言うなら、中共の十八大が開会される前後、すなわち2012年前後に、社会の諸矛盾が爆発する臨界点に至るだろう」と同氏は予測する。

(翻訳編集・小林)
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