中国の子ども、20%が肥満 心はもろく「ガラス」のよう

【大紀元日本6月26日】6月はじめ、北京のいくつかの学校の体育教師らは「子供達の体質が危機的な状況にある」と専門家に相談した。専門家は、「肥満化と近眼が増える身体的な問題とともに、心の状況も楽観視できない。親、学校また社会環境などの複合的な原因で、今の子供たちの心はもろくて壊れやすいガラスのようだ」と語った。

肥満児の一割が脂肪肝

中国地方紙「新京ニュース」によると、青少年の60%近くが近眼で、20%が肥満、しかも肥満のうち10%が脂肪肝になっているという。これは、北京市政府が初めて公表した「市民健康状況白書」の北京市小中学校生徒健康状況データによるものだ。また2008年から2009年度の調査によると、高校一年生の視力の低下率は78.36%になる。

子供達の健康状況が良くないのは、学業の負担や運動不足、栄養バランスが取れていないことなどに関係があるという。幼稚園に入る前から児童は字を覚えさせられたり、詩文を暗唱させられたりしている。その一方で、日常の事がこなせない若い世代がいるのも問題視されている。17、18歳になっても炊飯や洗濯ができず、洗顔や入浴までも母親に任せきりという青少年もいる。

専門家によると、近年は教育が過熱し、毎日子供に何を食べさせるか、何を着せるかなど日常の細部にまで手助けする親の過保護が目立ってきたという。過保護は子供の成長を妨げ、心身ともに虚弱な子にしてしまう恐れがある。

子供の精神面は「憂鬱

北京安定病院副院長、中華医学会精神病分会の児童青少年精神病学チームリーダーの鄭氏は、「児童や青少年の精神的健康面が悪く、慢性的に憂鬱な状態である」と語った。また、ストレス耐性に強くないとも指摘する。

今春、北京のある学校のスピーチコンテストで優秀な成績を修め続けた14歳の男子生徒が、十分に力を発揮できなかったため自信を失い、ビルから飛び降りるという事件があった。

危険な「理想郷」を作り上げる一人っ子政策による家庭環境

こういった子ども達の「ガラス化」の原因の1つは、家庭=温室という家族の溺愛にある。一人っ子政策によって子供は家の中の「独り子」になってしまい、年長者からの望みをすべて託されている。一人で服を着ることができない小学生、食器を洗ったことがない中学生、卵の皮をむけない高校生など、最も基本的な生活技能を大人が代わって行うことにより本人が行う機会が奪われ、若い世代に危険な傾向が現れている。

温室で育てられた子供達は、いったん挫折と失敗を経験したら再び立ち直れず、最悪のケースでは自殺など極端な行為に走ってしまう。家族の溺愛や甘やかし、ほめ過ぎなどは、子供に自分の能力の過信と周りに目を向けない危険な「理想郷」を作り上げている。

(翻訳編集・赫)