価格抑制策発表一ヶ月:取引成約量、北京9割の激減 中国の不動産市場、氷河期に

【大紀元日本5月17日】不動産価格の行き過ぎた上昇を抑制するため、中国政府が4月から相次いで不動産価格上昇抑制政策を打ち出した。特に4月17日、国務院が、新「国十条」と呼ばれる「一部都市の不動産価格の急速な上昇を抑制する通知」を発表。住宅ローンの金利引上げや、3軒目の不動産購入に対する融資禁止など、ここ数年で最も厳しい措置となった。新政策の実施が中国の5大都市の新築・中古不動産市場に深刻な打撃を与え、特に中古物件の取引成約件数が激減した。

取引件数は氷河期に

住宅価格の動向を示す「中原城市領先指数(CCL)」によると、今月12日の時点で、北京、上海、深センなど5都市で中古住宅取引成約件数が軒並み減少し、特に北京市では、一ヶ月前の35万平方メートルから7万平方メートル前後へと下落、落ち込みが最も激しかった。また、土地の取引成約も、面積、総額とも1ヶ月前に比べ、9割減となった。

取引件数の激減に伴い、不動産相場も急落した。「中原城市領先指数(CCL)」によると、北京市では、中古物件1平方メートルの価格が、平均20%も下落した。「人民網」の報道によると、デベロッパーに人気のある住宅地区「望京」では、125平方の住宅を100万元下げても買い手はなかったという。

一部の不動産投資家は今後の不動産価格の急落を見込んで、投資先を不動産からゴールド取引に移行し始めているという。国務院は13日、民間投資がインフラ、公共事業、政策による住宅建設、社会事業、金融サービスなどの分野に参入することを推奨する通知を公布した。民間投資の規制緩和の背景には、不動産投資のリスクを各分野に分散させる狙いだと思われる。

さらに厳しい抑制策導入の見込み

各地では、新「国十条」より、一歩踏み込んだ厳しい抑制策を出す動きが見えている。上海市はすでに不動産資産税の徴収策を決定したという。国務院発展研究センター金融所の夏斌所長が8日、今回の不動産価格抑制政策は、2年か3年を続く予定であると指摘した。温総理も13日、天津で視察した際に、住宅価格の抑制の必要性を再び強調している。

不動産市場の相場は、今後さらに下落するとみられる。「第一財経日報」が今月初めに、全国23社の不動産企業に対して行ったアンケートの調査結果によると、回答した22社のうち18社が、今後の相場は下落するとみている。22社のうちの1社は「すでに広域にわたる値下げセールスを計画中」とはっきり明示していた。18社は値下げする予定はあるが、時期とスケールは様子見と回答した。値下げをしないと答えた企業は3社だけだった。

閑散な「5・1節」不動産市場

中国のゴールデンウィークに当たる「5・1節」(国際メーデー、4月26日から5月2日)期間中、各地で不動産企業が割引販売イベントを行ったにも関わらず、これまでのような消費者からの熱烈な反響は見当たらなかった。

不動産関連研究機関の中国指数研究院が観測する32の研究都市のうち、「5・1節」期間中に、不動産販売契約済の総面積が前週比で増加したのは6の都市にとどまった。この中で最大増加幅を記録したのは広東省佛山市の98・36%だった。また、前週比販売契約済の総面積が減少した26の都市のうち、最大減少幅を記録したのは南京市の77・85%だった。

さらに、主要9都市の中で、中国政府が中低収入世帯を対象に提供する住宅、いわゆる「経済適応房」・「廉租房」を除くと、北京市の契約済不動産総面積は前週比わずか0・4%の増加に留まった。その他の都市、上海、天津、重慶、広州などの8都市の契約済総面積は大幅に減少。中でも重慶市の減少幅は5・93%で、他の都市では減少幅が20%を超えたという。

北京市不動産取引管理網によると、「5・1節」期間中、北京の中古不動産物件の取引件数が急減し、5月1日と2日は、1日当たりの契約済件数がわずか211件に留まり、4月の1日当たり契約済件数の1164件と比べて、下げ幅は82%にまで達したという。

4月19点xun_ネ来、各不動産販売会社が北京市内で合計2377件の新規住宅物件を販売する予定だったが、4月27日の時点で販売契約が結ばれた物件はわずか1件だったという。

不動産市場の急速な需要低迷に伴い、不動産企業が販売を促進するために、相次いで大幅な割引セールを始めた。不動産大手の恒大地産集団は5月5日、全国で販売するすべての不動産物件を対象に、85%の割引を実施すると発表した。また、上海緑地集団の張玉良・会長は6日、同社販売の一部の物件を90%割引く意向を示した。

4月から、上海市内で大幅な割引の実施を宣言した不動産開発プロジェクトは40項目に上り、そのうち最大の割引幅は88%だという。現在、南京市内でも割引ブームが広まっており、最大割引幅は88%。

一方、中国社会科学院は5日に発表した『中国不動産青書(2010)』の中で、需要が依然として高いため、各都市の不動産取引件数は減少はするが、不動産価格が大きく下落することはないだろうと、不動産関連企業とは相違する見解を示した。また同青書は、昨年実施された不動産価格の抑制政策の効果が薄く、一部の政策は充分な効果を果たせず、かえって逆効果を招いたと指摘した。

5月8日付の「新京報」によると、同紙がインターネットユーザーを対象に行った不動産市場の調査で、「今後も不動産価格は上昇すると思いますか」との質問に回答した1万818人のユーザーのうち、38・5%が「度重なる価格抑制政策の実施、度重なる価格の上昇。このため、予測できない」と回答。20・8%が「政府がすでに抑制政策を出しているから、上昇しないだろう」、8・2%が「今不動産(住宅)を買う勇気がない。(市場は)見ていない」と答えた。しかし、残りの32・5%のユーザーは「需要が依然として高いから、上昇すると思う」と回答。「新京報」はこの調査結果に基づいて、今後の中国不動産価格の行方について、引き続き上昇すると考える国民が、下落すると考える国民より多いという結論を出している。

(翻訳編集・張哲)
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