検閲なしの中国報道、世界で最も貴重=ピューリッツァー賞審査員

【大紀元日本5月7日】米国と並んでG2と言われるほど世界経済に最も重要な影響を与えるようになった中国。一方で、未だに共産党一党独裁体制で言論と報道の自由が厳しく制限される。ピューリッツァー賞審査員でコロンビア大学のリー・ボウリンジャー学長は先月、4月に公表された今年のピューリッツァー賞受賞リストについて言及した際、米国や世界に大きな影響を与えた中国報道が、受賞リストに現れなかったことを残念に思い、米国の新聞社倒産ブームの中、検閲なしの真実の中国報道が最も貴重だと述べた。

ボウリンジャー氏は、4月21日に米国家憲法センターで開かれたコロンビア大学の校友懇談会で言論の自由と報道の価値観について行った講演の中、中国関連の報道と中国での報道の自由の重要性を再三強調した。同氏は、米国憲法修正第1条(言論、出版、集会と宗教信仰の自由)及び言論の自由に関する先進的な考えで知られている。

閉鎖されつつある海外報道局

ワシントン紙の理事も務める同氏は、近年、インターネットの普及に影響され、米国の新聞社が相次いで倒産するブームが現れたと話す。多くの新聞社は海外の報道局を閉鎖したため、国際報道は激減したと話した。

同氏によると、マイアミヘラルド紙はかつて南米で14の報道局を有したが、昨年秋、最後の報道局を閉鎖した。アフガンでは、ニューヨークタイムズ紙とワシントンポスト紙のみ、現地でフルタイムの記者を雇っているという。

「我々は現在、知識と情報の減少によって、ますます判断がつかず孤立させられるリスクに晒されている」と同氏は話す。

その例の一つとして、「いま、中国のニュースを報道する米国メディアは30社あまりしかない。中国の米国および世界への強い影響を考えると、この数字はあまりにも低すぎる」と述べ、あわせて、高品質の中国ニュースが少な過ぎることも憂慮した。

ボウリンジャー氏が務めるピューリッツァー理事会は、4月12日に2009年度の受賞作品を公表した。その時代の歴史、大事件を緊密に反映する報道が評価されるピューリッツァー賞だが、世界最大の全体主義国家でありながら世界経済にも政治にも大きな影響を与えている中国と関連する作品は無かった。

2007年に、ウォール・ストリート・ジャーナル紙のマレーシア籍華人記者、方鳳美(Mei Fong)さんが、中国の経済発展がもたらす深刻な環境汚染と社会の不公平問題に関する報道でピューリッツァー賞を受賞した。

中国の言論自由は、米国の利益にとって重要

中国での報道の自由の重要性を強調した同氏は、その理由について、中国の言論自由は、米国の利益と緊密に関連しているからだと説明した。

「経済のグローバル化が進む中、中国は8千億ドルの米国債を保有している。一方、中国経済の舵を取っているのは中国当局である。これは非常に深刻な問題だ。それにより、中国当局の合法性は、中国国民の一大事だけではなく、米国とも緊密に関連している。われわれは中国の情報、中国のニュースを把握しなければならない。そうしないと、我々は徐々に封じ込められてしまい、自分の運命をコントロールできるなくなる」

「米国に身を置きながらも、中国当局の情報検閲の被害者になりうる。(中略)なぜかというと、インターネットで得た中国の情報は当局に選別されたものだからだ。また、中国当局から因縁をつけられるのを避けるため、あなたは自己検閲をしてしまうかもしれない」

米国政府は、外交手段や貿易協定、貿易政策などの手法で、他国政府に言論自由を促すべきだ、とボウリンジャー氏は指摘し、米国本土の言論自由も、世界の他の独裁国家に抑制される恐れがあると懸念を示した。

本紙の取材に対し、中国での民主・自由体制の樹立を支援するには、もっと多くの中国人学生に米国で教育を受けさせ、彼らに自由に関する理念を育てていくべきだと述べた。

中国撤退のグーグルは 香港からの撤退もありうる

報道検閲を巡るグーグル社と中国政府の衝突について、ボウリンジャー氏は、中国大陸から撤退したグーグルは、香港に移動したが、さらに香港からも撤退する可能性も避けられないと話す。

グーグルの遭遇から、米政府は米憲法第一条修正案を推進させ、グローバル規模で言論と報道の自由価値観を促進させるべきだと、同氏は強調した。

(記者・Pamela Tsai、翻訳編集・叶子)
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