上海万博、混雑で多国館閉館 盗作疑惑続出 リハーサルで様々な問題
【大紀元日本4月27日】5月1日の開幕まであと少し。国家の威信をアピールする狙いで万博史上もっとも高いコストを投入した上海万博に、中国民衆の反応は意外に冷ややかだ。岡本真夜さんのヒット曲を盗作したとされるPR曲盗作疑惑事件の発覚に始まり、マスコットと中国館がそれぞれ、アメリカの漫画キャラと日本建築の盗作ではないかという疑惑が続出し、「4千億元を費した面子(体面)プロジェクトに、中国人の面子は完全に潰された」と中国国内のネットユーザーが猛批判している。
それだけではない。リハーサル初日では、混雑でイタリア館のガラスが割れて閉館した。ドイツ館、イギリス館、オーストラリア館も相次いで混乱で閉館した。上海万博を「死博」(万博を意味する中国語「世博」と同音)や「肉搏」(組み打ち)と皮肉る発言がネット上に溢れている。万博は、本当に無事に開催できるのか。
盗作が指摘され、記者会見は大混乱
23日、万博事務局が国内外メディア向けの記者会見を開き、報道センターのリハーサル状況を説明した。しかし、会見中、ある米国人女性記者が、突然万博報道官の徐威氏に、アメリカの漫画キャラ「ガンビー(Gumby)」と日本建築が映った2枚の写真を見せ、万博のマスコットや中国館は盗作ではと問い詰めた。
突然の出来事に、会場は混乱に陥り、その場にいた記者らが徐威氏を囲んで盗作問題について質問した。会見は混乱の中で終了した。
万博事務局の説明によると、すでに国内外から1万3千人の記者が取材の申請を登録している。しかし、報道センターには800人の席しかなく、開幕後も混乱する場面は続くのではないかと、記者らは疑問を呈する。
PR曲作者、盗作を否定
中国のネットユーザーが万博をバッシングするきっかけとなったPR曲の盗作疑惑事件は、22日新たな展開が見られた。万博事務局は19日、盗作とされた元曲の作者・岡本真夜さんに、「万博限定で曲のすべての権利を当局に譲渡してほしい」と申し出て、岡本さん本人から「使用許諾」が快諾された。事実上、万博事務局が盗作を認める形となった。
しかし、盗作疑惑の作曲者である繆森(ミャオ・セン)氏は、22日、盗作否定の声明を出し、「岡本さん側が2つの曲は異なる曲であることを認識した」としている。産経新聞の報道によると、岡本さん側はこれに覚えがないそうで、「全くの誤報です」と戸惑いを見せているという。
「肉搏の万博」
リハーサルで現れた大混乱の状況に、市民らが万博を、「肉搏会」(組み打ち会)と揶揄している。24日、周辺地区の住民30万人を動員した4回目のリハーサルでも、様々な問題が露呈した。
とにかくどこでも混雑。人気パビリオンの前には、数十メートルの長蛇の列が作られ、入館まで3時間待ちは当たり前。どこへ行っても人だらけだ。
万博では食事の問題もある。園内には各国のグルメが集まっているが、値段が高いため、一袋10元(130円)のパンが大人気だ。
厳しい取り締まりにもかかわらず、会場付近にはダフ屋の姿が見られた。リハーサルの無料入場券は、400元(日本円5200円)にまで吊り上げられていた。
上海市政府は、万博周辺500メートル、約7平方キロメートルの地帯を「管理制御区」として一層厳しい取り締まりを実施している。万博の開幕から半年間、管理制御区内に住むおよそ10万世帯の住民は、区内を出入りするたびに車や所持品の検査を受ける。無許可の車両は、タクシーも含めて管理区内への出入りは禁止。管理区内の精神病患者と法輪功メンバーは、町内会と警官の監視下に置かれる。また、万博会場に面するベランダには洗濯物を干してはならない、などの細かい規定もある。