「撤退の準備はできている」 グーグル、検閲停止を再強調 中国:結果に責任取れ
【大紀元日本3月13日】中国市場から撤退しようとも当局のネット検閲は受けない、との宣言から2ヶ月。インターネット検索大手グーグルと北京当局の戦いは続けている。グーグルのニコール・ウォン(Nicole Wong)副法律顧問は10日、米国会で開かれた公聴会で再び中国政府のネット検閲に強い反対を示し、「もしこれによりグーグル・チャイナの運営が停止となり、それが中国市場から離れることを意味するならば、グーグルはその準備ができている」と表明した。
グーグルの声明に対して、中国の李毅中工業・情報化相は12日、「出て行くのも、とどまるのもグーグルの自由」とコメントした。同時に、グーグルの自社中国サイトの制限解除について、「中国に参入する企業は、中国の法律を守らなければならない。グーグルが中国の法律に違反する行為をすれば、繰り返し言っておくが、中国に対して友好的ではなく、無責任だ。それが招いた結果に責任を取らなければならない」と警告した。
グーグルCEO:交渉の結果は近いうちに出る
グーグルは1月、サイバー攻撃や中国当局によるネット検閲制度を挙げ、中国市場からの撤退の可能性を表明。グーグル側は、複数の人権活動家が所有する同社の「Gメール」アカウントへ中国から何度も侵入された形跡があったことを挙げ、検閲制度の撤廃を求めた。中国政府はグーグルの要求に対して、「中国で事業を展開する外国企業は中国の法律に従わなければならない」と強く反発した。
現在、グーグルは中国当局と交渉を行っているという。同社のエリック・シュミット最高経営責任者(CEO)は10日、アラブ首長国連邦(UAE)のアブダビ首長国で開催されたメディアサミットで、「中国政府との具体的な交渉内容は公開しないが、我々は現在、積極的に当局と交渉を行っている。近いうちに結果が出る」と述べた。
一方、中国のインターネット行政を統括する工業情報省の苗圩(ミャオ・ウェイ)次官は6日、中国市場からの撤退を表明する通知書はグーグルから受け取っておらず、グーグルとの正式な交渉は始まっていないと示した。しかし、その2日後、李毅中・工業情報相は、中国政府の関連部門がグーグルと交渉を行っていることを認めた。
グーグル・チャイナ(www.google.cn)は現在、まだ中国のネット検閲に従っているようだ。同サイトで「法輪功」、「天安門事件」、など中国当局にとって敏感なキーワードを検索すると、中国当局が発表した文章しか出てこない。また、ページの最下部には「現地政府の法律規制と政策に基づき、一部の検査結果は反映しません」というメッセージが出てくる。
「グーグルが中国から撤退するのではなく、中国が国際社会から撤退する」
北京外国語大学の展江教授はヴォイス・オブ・アメリカ(VOA)に対して、「欧米企業の多くは会社のモットーを持っている。グーグルは『邪悪になるな』(Don’t be evil)が有名だ。グーグルが直面しているのは、そのモットーを堅持していくかどうかという問題や、会社内部からの圧力だけではない。外部からの圧力もある。中国政府からの圧力に限らず、欧米世論の目もある。なぜなら、欧米世論は、自由に情報を伝達できるグーグルを重要なメディアであると見なしているからだ」と話した。
作家の朱健国氏は、グーグルのモットーは同社の自由や民主といった価値観を反映していると述べ、「グーグルが中国市場から撤退すれば、それは中国が国際社会から撤退することを意味する。中国は再びその門戸を閉じることになるのだ」と語った。
米国政府の措置、対中WTO提訴も
米国政府はグーグルのネット検閲問題に強い関心を示している。ここ2カ月、この問題で米中関係は急激に緊張を帯びてきた。米下院外交委員長のハワード・バーマン(Howard Berman)議員は10日、同公聴会後に「グーグル問題をめぐって、現在外務省および駐中国大使館が中国政府と交渉を行っている。一方、世界貿易機関(WTO)に対し、この問題について中国側がどのように違反しているのかを問い合わせているところだ」と語った。グーグルは、ネット検閲に応じる外国企業に対して一定の優遇措置を与える中国政府は国際貿易の原則に違反していると指摘する。
米国通商代表部(USTR)は9日、米国企業に打撃を与える中国のネット検閲制度について、WTOに提訴できるかを調査していると発表した。
また、米国民主党および共和党の下院議員は米政府に対して、中国のネット検閲を牽制する法律を立法するよう呼びかけている。民主党のデービッド・ウー(David Wu)議員と共和党のクリス・スミス(Chris Smith)議員は、超党派の「グローバル・インターネット自由連盟」への参加を他の議員らに呼びかけている。また、ウー議員は、ネット検閲を回避するための技術開発を援助する「インターネット自由基金」の設立を提案している。ウー議員は、「絶えず変化するデジタル化した世界において、我々は社会の繁栄を追求するばかりでなく、自由のために戦わなければならない」と話した。