【大紀元日本1月25日】
幼稚園(1992~1994年) ウェンディーおばさん
住み込みで子守りをするナニーさんを雇うことは、子供を持つ母親にとっては高嶺の花。実際にナニーさんをロンドンで雇っている日本人の駐在員の奥さんが、かつて「ロンドンの町中にお金もらって住めて、待遇はいいし、私もこういう仕事がしたい」と言っていた。
特別に教育を受けて資格を持つナニーさんとは別に、イギリスにはチャイルド・マインダーという制度もあった。チャイルド・マインダーには資格は要らない。子育てしていて、どうせ外で仕事ができないから、ついでに他のお子さんの子供も預かってお金を稼ごうという発想のようだ。チャイルド・マインダーとして登録するためにはいろいろなチェックがあるということも耳にした。
幼稚園のお友達が預けられていたので、一人っ子だし、複数のお子さんと別の家庭で遊ばせてもらえるのはありがたいと思い、そのお友達が預けられている時に、チャイルド・マインダーのウェンディーおばさんの家に連れていくことにした。
小太りで子供好きのおばさん。長男は成人し、次男は中学生。もう子育ての時期は過ぎたけれど、常に数人の子供の面倒をみていた。時給はなんと1ポンド(約200円)。当時でも異例な安さだった。その代わりにビスケットや缶詰めや子供が食べそうな物を持ってきてくださいと頼まれた。ご主人は農場の手伝いという。農場で働くと、時給が低くても、ジャガイモとか季節の収穫物をタダでもらえるようで、一家4人は生活できるわけだ。
お迎えに行くと、近所の人が食べ物を持ってきていたりする。物々交換、助け合い精神いっぱいの世界だった。ビスケットを持っていくと、おばさんは深々と頭を下げてくれる。手作りでもないし、スーパーのバーゲンだったので申しわけなく感じた。お金で全てを測りがちな都会育ちの私の常識が砕かれる体験だった。
(続く)
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