中国大陸住民、北京当局の司法不当を台湾当局に直訴
【大紀元日本9月3日】当局の立ち退きへの対応に不満を持つ中国河南省の住民は8月19日、台湾観光中、ツアーから抜け出し、連日総統府前で横断幕を広げ、陳情活動を行った。台湾で陳情を行う中国大陸住民はこれが初めて。建国60周年式典の治安強化を控え北京当局が先日、地方政府の法律・司法執行不当を訴える直訴制度を廃止すると発表したばかりだけに、今回の事件は北京当局の面子を丸つぶしにした行動とも受け取られかねない。
台湾総統府前で陳情活動を行ったのは河南省の住民・張昆山さん。張さんは、地元政府幹部が住民に支払われる立ち退き料から6千万元あまりを横領したとして、これまでの6年間、中国大陸の各政府機関に陳情しつづけてきたという。2007年12月にやっと立件が決まったが、所在地区のすべての弁護士が「代理人になってはいけない」と通達され、最後の望みが断ち切られた。それでも諦めきれない張さんは台湾観光中にツアーから姿を消し、台湾政府に助けを求めたのである。
張さんは総統府の前で掲げた横断幕で、「中国当局に住居とすべての財産を奪われた」と訴え、今回の目的は台湾と大陸の間に締結した法律互助協議に基づき、台湾の弁護士から法的支援を受けたいとしている。
現在、張さんは移民署に保護され、収容されている。移民署の話によると、観光中政治亡命をした前例はあったが、立ち退きの賠償金を求める人はこれまでいなかったという。滞在中に不法活動がなければ、近日中に送還される見通しである。
近年、中国大陸でも市民らの法的意識が高まりつつあり、当局に不公平な処遇を受けても泣き寝入りせず、個人または集団で直訴制度を利用し、己の権益を守る人が急増している。地方政府に直訴しても解決されないケースが多いため、北京の直訴対応機関前は一年中、直訴者であふれ返っている。当局の政権維持を脅かす最大の要因の一つとされ、中共当局はつい先日、直訴制度を廃止することに踏み切った。唯一の訴える場を失った直訴者に今後どう対応するのか、今回の事件は当局を厳しく問い正すことになった。