米紙媒体、相次ぐ倒産 大紀元新聞社頭角を現わす

【大紀元日本8月28日】87年の歴史を持ち、世界最大規模の発行部数を誇る月刊誌「リーダーズ・ダイジェスト」が17日、破産宣告をした。リーダーズ・ダイジェスト・コーポレーションの破産は、今年に入ってから相次ぐ紙媒体企業破産の一例に過ぎない。事実、2009年上半期だけで、米国では既に105社の新聞社が破産。10億米ドル(約960億円)の負債を抱えるニューヨーク・タイムズ社も、いずれは倒産するとみられている。

その一方、このような米新聞社倒産の嵐の中で、週200万部の発行に近づく大紀元時報が頭角を現してきている。

世界新聞業の衰退期

紙媒体メディアの相次ぐ倒産の嵐の中には、150年の歴史を誇りながらも今年初めに倒産した、デンバーの主要紙ロッキー・マウンテン・ニュースの姿があった。また、ブロードウェイのシアトル・ポストは、紙媒体からネットサイトに移行。1908年創刊の世界的に有名なクリスチャン・サイエンス・モニターも発行停止。さらに、ロサンゼルス・タイムズとシカゴ・トリビューンの親会社も破産宣告した。この点から、400年の歴史を持つ世界の新聞業が衰退期に入ったという認識が広がっている。

17日に破産宣告した月刊誌「リーダーズ・ダイジェスト」

新聞衰退の原因は3つ挙げられる。1つ目は、世界的経済危機による広告依頼の激減。自動車、不動産、中・上流階級向け高級品などの広告が減っている。

2つ目は、インターネットの発達。2001年には、ネットからニュースを入手していた米国人は13%であったのが、現在はその割合が40%に上っており、さらに速いスピードで広がっている。統計によると、ネット新聞、個人ブログ、Facebook、Twitterなどが従来の新聞のシェアーを侵食している。

左派思想の衰退

経済危機、インターネットの発達のほか、左派思想が米国で衰退しつつあることが、新聞衰退の3つ目の原因として挙げられる。米国在住の著名時事評論家曹長青氏の「ニューヨーク・タイムズ」の衰退原因に関する分析によると、経済危機の背後には新時代のインターネット媒体の伝統紙媒体に対する競争がある。しかし、さらに深層を究めると、新聞衰退の原因は、新聞作りの理念および新聞の立場からの社会への責任実現の問題にあるという。

全米発行量のトップ10社に対する調査では、左寄りの8社はいずれも発行部数が激減しているのに対して、右寄りの2社だけが発行部数を増加させていることが分かった。従来の社会主義を提示する形では新聞は売れなくなってきていることが示されていると、曹長青氏は指摘する。

曹氏が、左寄りの「ニューヨーク・タイムズ」と右寄りの「ウォールストリート・ジャーナル」の盛衰を比較したところ、現在全米発行部数3位を占める「ニューヨーク・タイムズ」が発行部数を8%減らして100万部なのに対し、右寄りの「ウォールストリート・ジャーナル」は12%増やして201万部となり、その差は2倍以上となっている。

2009年2月27日、150年の歴史を誇る「ロッキー・マウンテン・ニューズ」閉鎖(Getty Images)

紙媒体は存続する

インターネットの発達から衝撃を受けた紙媒体は、6年後には消えてしまうという専門家の推測もある。紙媒体業界に広がる世界的な悲観ムードの中、楽観的な考えを持つメディア業者もいる。大紀元新聞グループの総編集長・郭軍(グォ・ジュン)氏は、「インターネットがどう発展しても、新聞にとって代わることはない。新聞は読者の要求を満足させるために、独自の市場が存在するからだ」と独自の新聞論を展開する。

「紙面には紙面のよさがある。良い新聞を読むと人は落ち着くが、ネットの閲覧では、往々にして苛立ちと不安を覚えがち。多くの人は、メールやネット上の重要な文書は、印刷してからじっくりと読む。紙媒体のレイアウトは一種のアートであり、読者に独特な芸術空間を呈示している。伝統メディアである紙媒体がネットにとって代わられることはない。問題は、携わる人たちが紙媒体をどのように運営するかということだ」と郭編集長はいう。

また、郭編集長は、新聞社倒産の急増について、次のような見解を示した。「深層の原因はメディアの氾濫であり、メディア自身の道徳理念と信頼度が大幅に落ちたからだ。それに、印刷技術の発達も加わって、誰もが意見を発表し簡易新聞を作ることができるようになった。また、金融市場の発達によって、新聞業企業も上場し商業化したため、社会に対する責任および道徳的責任を担うべき伝統的な新聞作りの理念が薄れたからだ」。

ネット媒体が持つ厖大な情報力に対して、紙媒体はどのように競争できるかということについて、郭編集長は「インターネット全盛の今日では、読者が同時に記者にもなれるわけで、スピードはもはや新聞の売りではない。『深く掘り下げた』報道ができることこそが新聞の良さ。良い新聞は、人々に『何が発生したか』だけでなく、『なぜ発生したか』をも伝えなければならない。新聞は、日々の大量の情報を整理、分析、さらに解読し、メディアの道徳的責任および社会的責任を真に担うものである。これらのことをしっかり行うことのできる新聞紙は、必ず発展していくだろう」という。

頭角を現わす大紀元新聞社

2000年8月、在米中国人によって設立された大紀元新聞社は、現在11言語の新聞紙及び20言語のウェブサイトを持ち、世界の紙媒体の中で、発行地域が最も広い新聞グループである。世界各地に40支社を設立し、発行地域は30カ国以上。近年の経

大紀元時報。2005年に香港で日報発行を開始した後、台湾、北米でも日報を実現。現在、海外の中国語新聞の中で、最大規模の発行部数と発行地域を誇る新聞となった。(写真:AFP)

済危機の影響を受けることもなく、その規模をさらに広げている。特に中国語新聞紙の発行部数は、世界中で週200万部に昇り、中国大陸以外で発行される中国語新聞としては、中国人が暮らす多くの地域をカバーする世界最大規模のものとなっている。

自社のこれまでの発展について、郭総編集長は「世界中の大手メディアは現在、単独経営で収益をあげることはできず、スポンサーがいなければ成り立たない。しかし、これらのスポンサーは中国大陸に投資しているため、中国当局が敏感に反応しそうな内容の報道は抑えられがちになっている。中国社会の多くの真相も、こうした事情を背景に隠ぺいされてきたが、大紀元は誠実さを貫き、9年間国際社会に対して真相を伝え続けることで、今日に至った」と語っている。

(記者・文華、翻訳編集・余靜)

関連記事
2023年5月25日に掲載した記事を再掲載 若者を中心に検挙者数が急増する「大麻」(マリファナ)。近日、カナダ […]
中国共産党が7月に反スパイ法を改正し、邦人の拘束が相次ぐなか、外務省が発表する渡航危険レベルは「ゼロ」のままだ。外交関係者は邦人の安全をどのように見ているのか。長年中国に携わってきたベテランの元外交官から話を伺った。
日中戦争の勝利は中華民国の歴史的功績であるが、これは連合国の支援を受けた辛勝であった。中華民国は単独で日本に勝利したのではなく、第二次世界大戦における連合国の一員として戦ったのである。このため、ソ連は中国で大きな利益を得、中共を支援して成長させた。これが1949年の中共建国の基礎となった。
香港では「国家安全法」を導入したことで、国際金融センターとしての地位は急速に他の都市に取って代わられつつある。一方、1980年代に「アジアの金融センター」の名声を得た日本は、現在の状況を「アジアの金融センター」の地位を取り戻す好機と捉えている。
米空母、台湾防衛態勢に 1月29日、沖縄周辺海域で日米共同訓練が挙行された。日本からはヘリコプター空母いせが参 […]