【草木染めの植物】朴(ホオ)

【大紀元日本6月5日】山地に多い日本特産のモクレン科の落葉高木。6月ごろ香りの強い大型の白い花が開きます。古くは葉に食物を盛ったり、包んだりしましたが、今でも葉味噌(ほおばみそ)などに使われます。材は柔らかく、きめが細かいので、下駄の歯や細工物、版木に使用されます。古名を「ほほがしわ」といい、万葉集にも載っています。樹皮は生薬名で和厚朴(わこうぼく)といわれ、中国産生薬の厚朴の代用品として使われています。

【薬用効果】厚朴は天日乾燥した樹皮で、気の流れをスムーズにしますが、胃腸に働けば、配合の生薬により、下痢、腹痛、腹満、便秘などに様々な効能を発揮します。また、肺に働いて呼吸困難、喘息に有効です。一日量は乾燥物3~9gを煎服します。花の蕾は厚朴花といい、同様に使用されます。

【食用】若葉におにぎりや寿司、餅などを包むと、良い香りが移り、風情があり食欲をそそります。山間部では郷土料理として、乾燥した葉に味噌をのせ(朴葉味噌)、炭で焼きます。味噌にねぎ、しいたけ、かつおぶしなどをまぶしながら食べます。また、開花前の蕾をホワイトリカーに浸けて花酒をつくります。

【染色用】樹皮を細かくして水に浸して熱し、煎汁をとり、染液とします。十分煮染します。アルミ媒染で薄茶色、銅媒染で茶色、鉄媒染で鼠色を染めます。江戸時代の資料によると材を黒灰にして用いたことが記されています。

ホオの木全景(写真=大紀元、2009年5月18日)

(文・ハナビシソウ)