【大紀元日本9月22日】「うそも方便」と言って、うそも時にはよしとされることがありますが、それはあくまでもその場しのぎに過ぎず、往々にしてうその上塗りを繰り返さざるを得なくなります。ならば、やはり初めから「真」を貫き通すほうがいいのでしょう。
この「方便」ということば、本来サンスクリット語で、「近づく」という意味。仏教では、衆生を真の教えに導く(近づかせる)ために相手の素質などに応じて便宜的にとる巧みな手段のことを言うようです。それが次第に、広く一般的に用いられるようになり、今日の「目的のために利用する便宜的な手段」という意味になりました。
一方、中国語の『方便』も本来は仏教用語で、日本語のそれと同じ使われ方がされていたようですが、現代では、主に「便利だ/都合がいい/便宜を図る」といった意味で使われます。このうち、日常よく目にするのが「便利」義で、チラシやスーパーなどで『方便麺』(インスタント・ラーメン)、『方便食品』(インスタント食品)、『方便袋』(スーパーのビニール袋)といったことばをよく見かけます。
ところで、日本にも「方便袋/方便嚢(ほうべんぶくろ)」とよばれるものがあります。昔、筒型の深編笠をかぶって、尺八を吹きつつ行乞する虚無僧(こむそう)が胸に掛けた袋のことで、いろいろな物を入れておくための「便利」な袋ということだと思われます。ということは、日本語の「方便」にもわずかながら「便利」義があったのかもしれません。
(智)
ご利用上の不明点は ヘルプセンター にお問い合わせください。