古都奈良にこだまする「フリー・チベット」

【大紀元日本5月11日】5月10日午前に中国の胡錦涛国家主席が奈良の法隆寺、唐招提寺等を訪れたのに合わせる形で、同日午後、中国政府によるチベット人に対する人権侵害に抗議するデモ行進が、小雨の降る肌寒い天気の中、奈良市内で行われた。

デモ行進は、東大阪市に住む男性がインターネットを通じて呼びかけたもので、男性によると、参加者はおよそ200人で、金沢、神奈川、岡山等の遠方から駆けつけた人もいるという。

参加者は、午後3時過ぎにJR奈良駅前に集合し、3時半に「FREE TIBET」と書かれた横断幕を先頭に行進をスタート。繁華街の三条通を東進して終点の猿沢池まで、およそ1キロのコースを、「チベットに平和を」「パンチェン・ラマを返せ」「宗教の自由を」等のシュプレヒコールを繰り返しながらデモ行進を行った。

男性によると、デモ行進を呼びかけたのは、3月にラサで多くの人が殺されたにもかかわらず、そのことが正しく報道されていないということに気が付いたのがきっかけで、「一般市民にチベットで今どういうことが起きているのかということに関心を持ってもらう契機を作っていきたい」と考えたからだという。今後このようなデモをいつ行うかは未定だが、ビラの配布等によって継続して訴え続けていきたいという。

三重から参加したという女性は、チベットの人々が弾圧され拷問に遭っているというニュースがインターネットで流れたときに、「それはすごい人権侵害だと思い、黙っていられなくなった」という。そこで、何か自分にできることはないかと探っていたときに、インターネットでこのデモのことを知って参加したという。

同じく「何か行動を起こさなければ」と思って参加したという地元奈良の女性は、中国が今夏オリンピックを開催することについて、「オリンピックが開催されることに反対ではないが、今の中国のような状況の中で、『平和の祭典』といわれるオリンピックが開催されることに疑問を感じる。選手の皆さんの頑張りを見ていると、成功してほしいという思いもあり、ジレンマを感じる」と複雑な思いを語った。

三重の女性も、中国のオリンピック開催について、「中国にはそれだけの力がある。ただ、今のようにチベットとかウイグルで人権侵害をしたままで、中国人は『オリンピックだ』と浮かれていていいのかな、と思う」と疑問を呈した上で、「オリンピックを開けば国に活力が出るし、国際社会に貢献することにもなる。中国にもそうであってほしいからこそ、人を抑圧して人のものを奪うようなそういう中国(政府)であってほしくない」と切々と語った。

「今後の予定は?」との質問に、二人は口をそろえて、「(チベットやウイグルでの人権侵害が)終わるまで止められない」と言い、三重の女性が「オリンピックが終わったらそれで終わり、じゃない。こういう状況が続くかぎり声を挙げていく。福田首相にも(中国政府に対して)きっちり言ってほしい」と締めくくった。

JR奈良駅前に集まった参加者たち(撮影=瀬戸、2008.5.10)

デモ行進ゴールの猿沢池に到着した参加者たち(撮影=瀬戸、2008.5.10)

(記者=瀬戸)

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