【神話伝説】赤い目の石獅子
【大紀元日本4月7日】歴史上には多くの真実の物語が伝わっており、神の啓示を実証していた。現代人は、それらを神話と呼んでいる。
大昔、ある村では道徳が廃れてしまい、天意がこの村を滅ぼそうとした。しかし、その村に一人の善良な老婦人がおり、乱世の中にあっても依然として毎日佛前にお香を焚いて礼拝し、身を修め徳を積んでいた。老婦人は生まれつき他人を助けるのが好きであった。
ある日、村に一人の乞食がやって来た。その着物はすでに脂ぎって鼻をつき、誰が彼女を見ても鼻をつまみ追い払った。土地のごろつきは乞食に乱暴し、その物乞いの茶碗も叩き割った。乞食はよろよろして立ち去ろうとしたが、体を支える気力が無くなって地面に倒れて意識を失った。老婦人は、この光景を見て乞食を家に招き入れて世話をした。
乞食に化けた観音菩薩と心の優しい老婦人(イラスト=王延英)
老婦人が食べ物を乞食に恵もうとしたちょうどそのとき、不可思議な光景に驚いた。乞食は観音様の姿になって、その周りは天女たちで囲まれていた。元来この乞食は観音様の化身であった。思いがけずに佛を目にした老婦人は地にひれ伏した。天女が彼女を起こした後、観音様は老婦人にこう言った。「まもなく大洪水がやって来て、この村は吞みこまれる。村の入り口の石獅子の目が赤くなった時が、大洪水の来る時である。この天機を村の人々に伝えても良い。信じる人は救われるだろう」。話し終えると、観音様と天女たちはすぐいなくなった。
老婦人は急いで、「村の入り口の石獅子の目が赤くなったら、まもなく大洪水がやってくる」という天機を村人たちに伝えた。しかし、大抵の人たちは彼女を嘲笑して、顧みることなく軽蔑した。
急いで村の人々に大洪水の到来を知らせる老婦人(イラスト=王延英)
ある晩、村のごろつきたちが老婦人を誑かそうと、石獅子の目に赤い色を塗りつける悪戯をした。翌日、老婦人は石獅子の目が赤くなったことを発見して、たいへん驚いた。そして、彼女は慌てて村の人たちに災いがすぐそこまで迫っていると告げた。一方、ごろつきたちは、それは老婦人をからかうための悪戯だと村の人々に告げた。結局、ほとんどの人は老婦人の話を信じなかった。僅かの善良な人たちが、彼女を信じ、村を離れて立ち退いた。そして、間もなく雷鳴が轟き、大雨が降ってきた。村全体が水中に沈んだ。老婦人の話を信じなかった村人らはすべて災に遭って亡くなった。
信じない人は大洪水に呑み込まれた。(イラスト=王延英)
洪水のあと、観音菩薩の啓示を信じた人と老婦人が村に戻って来た。観音菩薩が劫難のあと再度その姿を現した時、残った人たちは皆ひれ伏して崇めて、観音菩薩の慈悲と救済に感謝した。