北京五輪、大気汚染の改善は困難=国連報告書
【大紀元日本10月27日】国連環境計画(UNEP)はこのほど、北京市の大気汚染は来年のオリンピック開催までに著しい改善は見込めないと示した。この報告書は、来年のオリンピック開催に際し、中国が国際社会に対して公約した環境改善の状況を査定したものである。
国連環境計画(UNEP)は、国際連合のもとで、環境問題に関する諸活動の全般的な調整を行なうとともに、新たな問題に対しての国際的な取り組みを推進することを目的とした国際機関である。
報告書では、北京市の大気汚染は、世界保健機構(WHO)が定めた安全ラインを下回っていると指摘。国際オリンピック委員会のロゲ会長はこの前に、問題があまりにも深刻であれば、一部の競技を遅らせる可能性を示唆した。
163ページに及ぶこの報告書は、2000年から2006年までに、中国当局が空気中の主要汚染物、例えば、二酸化硫黄と一酸化炭素の減少に成功したが、2006年に状況が停滞した。空気中の4大汚染物の含有量が上昇、あるいは下げ止まっているという。
報告書は、新たに発見された問題点を明らかにした。建築現場や、石炭ボイラー、砂嵐がもたらす大気汚染である。関連の汚染物質の濃度は、2000年の水準に相当し、特定の時期において、WHOが定めた安全ラインの3倍を超えているという。
国連環境計画のスポークスマンは、オリンピック組織委員会や、選手、観衆、北京市民はこれらの問題を憂慮する権利を持っていると述べ、関連のデータは来年のオリンピックにどのような影響をもたらすかについて、具体的な説明を避けた。
また、報告書は、来年8月の北京五輪までに、現地の大気汚染の状況は大きく改善する見込みはないことを明確にした。
WHOのクリザノフスキ(Michal Krzyzanowski)医師は、BBCの取材で、「重度に汚染された空気中にいると、深刻な疾病を誘発する恐れがある」と述べ、「心臓病患者は、(もし北京でのオリンピック観戦を計画しているならば)、慎重に考え直すべきだ」と助言した。
世界銀行の調査報告によれば、全世界で最も環境汚染が深刻な20都市のうち、中国は16都市を占めている。
クリザノフスキ医師は、「欧州の基準に照らせば、これらの都市の汚染水準はかなり高い。アジアの基準に従っても、中国の都市の汚染は深刻…これらの都市の中、北京市の汚染状況は最も深刻」などと話した。