中共第17回大会上層人事 焦点は中央政法委書記

【大紀元日本10月21日】中国共産党の17回党大会は明日22日、党最上層指導部である中央政治局の人事配置を決める。江(江沢民)胡(胡錦涛)間権力闘争の白熱した第17回党大会の人事配置の中、最も焦点を当てているのは、中国共産党政治法律委員会書記の次期候補者と、その政治局での地位であり、江沢民勢力及び胡錦涛政権との激しい権力闘争の核心である。

中国共産党政治法律委員会(政法委)は、司法、検察、公安部門を主管する機構。中国共産党の中央と地方の各クラスに存在する。中央政法委は中央紀律検査委員会と共同で政府の監察部門を指揮しながら、中央軍事委員会とも共同で武装警察の指揮を執る。司法部長(法務大臣)や最高人民法院院長(最高裁長官)らを束ねるトップに位置し、その権力は絶大である。

現書記の羅幹が任期内に実施した民衆に対する弾圧政策は、特に一億人も上回る、中国社会各層に普及する気功集団・法輪功への迫害は、民衆と政府間に多大な対立を作らせ、社会の核心問題を誘発した。羅幹の辞任問題及び次の後任者候補は、今回の党大会における権力闘争の中心となっている。

政治法律委員会を廃止しようとした趙紫陽

1989年天安門事件で失脚した趙紫陽・元総書記のシンクタンクメンバー呉国光は、政治法律委員会の重要性は一般人にはわからないが、その存在の実質は、司法独立への干渉であると指摘する。呉国光は、かつて中国共産党十三回党大会の政治改革報告の起草に関わった人物。

公安、検察院、法院(裁判所)、司法の四大法制システムを主管する党務機関である政治法律委員会は、平和時には国家と国民を管理するための独裁ツールと言える。政治法律委員会書記は、公安部部長、最高検察院院長あるいは最高裁判所所長、司法部部長などをすべて牛耳る。同時に、地方各クラスの政治法律委員会も、それぞれの警察・検察・裁判所・司法部門の指導権を握っている。

呉国光は趙紫陽時代の思い出を語った。当時、趙紫陽は「民主政治」を提唱し、党の強すぎる権力集中を弱めようとしていた。「民主政治」を実現するには、最も重要なポイントは「司法独立」だが、保守派からの猛烈反発を恐れて、趙紫陽は迂回戦術を取り、政治法律委員会を廃止することを考え出した。

呉国光によると、趙紫陽は当時、「裁判所、検察院、公安部、司法部のリーダー全員が政治法律委員会の委員で、党は、政治法律委員会書記を任命し各委員をコントロールする。これは毎日、党が司法を干渉していると同じではないか」と指摘し、政治法律委員会廃止案を提出した。しかし、趙紫陽が天安門事件で失脚した後、この廃止案は保守派に激しく批判され、そのまま座礁した。

党内で最も闇の部署

海外メディアの評論によると、政治法律委員会への重視程度は、党内における改革派と保守派、進歩と遅滞の勢力を見分けるシグナルである。趙紫陽が失脚した後、江沢民は権力を握り、趙紫陽の政治改革における試みを徹底に廃止し、党委員会の指導権を更に強化し、政治法律委員会の地位を昇格させた。そのため、政治法律委員会は、政府に異論を唱える民衆を弾圧する機関として党内の最も闇の部署となり、さまざまな社会的対立を生じさせた。

第17回党大会の政治報告の中、胡錦涛は、党員の普遍な腐敗は共産党の存亡を脅威しているほど深刻であると警告出した。しかし、公安、検察、裁判所はなぜ政府幹部らが犯罪にまで発展する前に阻止できなかったのか、汚職と腐敗が氾濫した原因はなにか。公安、検察、裁判所を管理する各クラスの「政治法律委員会」自らの汚職・腐敗が原因であると考えられる。結局、党中央はやむを得ず、「中央規律検査委員会」という組織を設立し、「政治法律委員会」の行動を制約しようとした。

現在、中国社会に氾濫している「売春」「麻薬」「暴力団」など、ほとんどが政法委と裏で繋がっている。公安と司法制度は実際に闇社会のバックボーンとなっている。権利が侵害され、司法制度にも保護されなかったため、上部の機関に陳情し、冤罪を晴らそうと地方からはるばるやってきた直訴者らは、逆に政治法律委員会に妨害され打撃される対象となっている。そのため、公安と司法制度と民衆間の対立は日増しに激化し、2005年に平均7分ごとに一回大規模なデモが勃発していた。

現書記の羅幹は、新疆ウィグル族の独立運動、2004年に四川省漢源で発生した10万人規模の農民群衆抗議事件など、自らが鎮圧の指揮を執った。また、1999年、羅幹は江沢民の指示の下で、司法制度の制約を受けない法輪功弾圧組織610オフィスを自ら成立し、法輪功の迫害を徹底した。

内部情報によると、羅幹は政治法律委員会の特権を濫用し、莫大な国家資源を横領し、8年も続けて法輪功鎮圧に費やした。その問題は最近、胡錦濤による江沢民財政問題への調査により把握され、胡勢力が江一族に打撃を与える重大なきっかけとり、現在党内の深刻な分裂と解体に直面する危機を招いた。

政治法律委員会を手離さない江沢民

江沢民が権力を失った後、最も恐れていることは、今まで国民に対し犯してきた多くの罪、特に法輪功に対する迫害問題は、いずれ海外にしろ、国内にしろ、法律で厳重に審判されることである。それを阻止するために、最も有効な手段は、今まで自身がコントロールしている政治法律委員会の権力を握ることだ。これは江沢民が羅幹を重視する最大の理由である。それも羅幹の退任につれ、江沢民が第17回党大会で自らの主要メンバー、65歳の公安部部長の周永康を政治規律委員会書記に就任させようとする主な理由である。

石油界で30年働いた周永康の父親・周一萍は、かつて国防科学技術委員会の副政治委員を担当した。周永康は江沢民の姪の夫でもあり、江沢民の右腕のような存在とみられている。1998年に突然、朱鎔基体制に入閣して、国土資源部部長を担当したが、その後スピード昇進、公安部部長まで上がり、中央政法委書記の羅幹に次ぐナンバー2の人物となった。

周永康は四川省委員会書記を担当した際、報道の自由を厳しく制限し、「蜀報」と「ビジネス朝刊」などを廃刊させた。また、江沢民に協力して法輪功を鎮圧した主要メンバーの一人。

(記者・文華、翻訳・侍傑、編集・肖シンリ)
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