中国農村部教師、社会保障を求める陳情・抗議活動

【大紀元日本8月26日】最近、中国各地で、農村部の学校の「民弁教師」が相次ぎ抗議陳情活動を展開している。彼らは、退職金の支払いや、年金の支給、健康保険の加入などの問題解決を求めている。当局は「政策がない、関連の規定もない、そのため解決する術がない」として、何ら対応する姿勢を見せていない。また、地方政府は中央への陳情者を取り締まり、強制労働収容所に収容するケースも多いという。

「民弁教師」は、農村部の学校の教師であるが、当局の規定により、彼らの実質上の職業は農民である。中国の農民は、退職金や、年金、健康保険などの社会保障を享有できない。そのため、「民弁教師」は教育者であるが、都市部の学校教師の待遇とかなりかけ離れ、老後の生活は極めて貧しい。

教師たちは、「我々は数十年間教育事業に携わってきたが、退職後、退職金も、年金も、健康保険もなにもない。病気になっても、医療費が高くて、治療すら受けられない。我々は、まさに政府に使い捨てにされている。高望みなんかまったくない、最低限の生活保障を要求しているだけだ」と言葉を揃えた。

そのような状況において、ここ10年間、全国各地で「民弁教師」による陳情活動が続発している。教師らは、現地政権に状況の改善を求めるが、「これは過去の体制が生じた問題であり、関連の政策規定がないため、解決できない」として、地方政権はその訴えを却下してきた。そのため、北京に出向かい、中央政権への陳情を試みるが、地方政権に監禁、強制労働所に収容されてしまう者が多くいる。

8月20、21日の二日間、河南省伊川県で約100人が県内の「民弁教師」約2896人を代表して、県役所を訪れ、陳情を行った。

8月20日と21日の二日間、河南省伊川県の民弁教師約100人が県政府前で陳情活動を行った

8月20日から、湖北省荊門市東宝区の60数人の「民弁教師」が区役所の前で抗議活動を行っている。

8月20日、湖北省武漢市の「民弁教師」約100人が、県政府の前で座り込み抗議を行った。服に大きく「冤(無実)」の文字を書いた人もいたという。

同日、湖南省の「民弁教師」100人以上が北京に入り、中国当局の政府メディア「新華通訊社」の前で、座り込み陳情を行い、厳しい生活状況を訴えた。

中国当局の政府メディア「新華通訊社」の前で、現状を訴える湖南省の「民弁教師」

中国当局の政府メディア「新華通訊社」の前で、現状を訴える湖南省の「民弁教師」

(翻訳/編集・叶子)
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