【大紀元日本8月10日】中国の急速な工業化によって、淡水に棲息する「白ひれイルカ」(Whitefin Dolphin)が絶滅した可能性がある。8日、中央社と英BBC中国語ネットが伝えた。
報道によると、中、日、英、米、独、スイスの6カ国の科学者からなる国際調査チームは、昨年11月に武漢を出発し、白ひれイルカの天然棲息地である長江流域を1700キロにわたって、6週間かけて調査した結果、白ひれイルカは1頭も発見されなかったという。
調査チームのリーダーで、白ひれイルカの専門家である、中国科学院の王丁氏は、「この結果は、おそらく白ひれイルカが全滅したということを意味する」と語った。白ひれイルカは、1997年の調査の時点ですでに、武漢一帯の長江でわずかに13頭しか確認されず、かつ2002年以降発見の報告例はない。
白ひれイルカは、ハンドウイルカ(Bottlenose Dolphin)の仲間で、デリケートで恥ずかしがり屋の性格から、中国の民間伝説では「長江の女神」とも称されている。1950年代には、長江流域に数千頭棲息していたといわれる。
同調査チームは総括の中で、水上交通量の増加ならびに大規模な水利施設の建設によって、白ひれイルカの生活空間が縮小され、回遊路線が寸断されたこと、ならびに乱獲と水質汚染が、白ひれイルカ絶滅の原因であるとした。
世界自然保護基金(WWF)も早くに、水質の悪化と各種水利施設の建設によって、長江流域等のアジアの主要な河川に棲息する淡水イルカは絶滅の危機に瀕するであろうと指摘していた。絶滅の主な原因は工農業による河川の汚染だと考えられており、かつて、白ひれイルカの組織から農薬の残留物が発見された。
王丁氏は、「白ひれイルカが絶滅したと断定しているわけではない」としながらも、白ひれイルカ生存につながるいかなる形跡も発見できなかったことに遺憾の意を表明した。
今回の調査結果は、英国ロイヤルソサエティの雑誌「生物学」に発表されることになっている。
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