中国湖南省:服飾メーカー従業員千人以上が座り込み抗議、暴力的取り締まりで負傷者多数

【大紀元日本8月2日】先月26日、湖南省長沙市の服飾メーカー「銀太紡織有限公司(元・長沙裕湘紡織総厂)」で、従業員千人以上が、同工場幹部の汚職問題について、工場入口前で集団座り込み抗議した。現地政権が数百人の警察を動員し数十人の従業員を逮捕、負傷者が多数出た。

本紙記者が工場に電話取材をしたところ、対応に出た工場関係者は、従業員の抗議事件の発生を認め、「問題はすでに解決した」と説明した。現地の岳麓区・公安局は、現場にいたことを認めたが、抗議者への暴力行為、逮捕事実などを否認し、今回の事件は従業員の暴動であるとした。長沙市政府の報道事務局は記者の質問に答えず、取材を拒否した。

抗議に参加した従業員が大紀元に寄せた情報によれば、当日、数百人の警察が数十匹の警察犬を連れて現場に駆けつけ、抗議者に暴力を振舞ったという。従業員数人が携帯電話で暴力現場を撮影しようとしたが、警察が携帯電話を壊し、彼らを強制連行した。約4、50人の従業員が逮捕された。多くの負傷者を出し、老人も殴られた。いまだに入院治療している人がいる。

複数の従業員の証言からまとめた今回の衝突事件の経緯は次の通り。

同工場の前身である、国有企業の長沙裕湘紡織総厂は1996年、市政府の破産宣告を受け、そのまま今の民間企業、銀太・紡織有限公司に変わった。この国有企業が民営化する過程で、長沙市中級人民法院が作成した破産管財記録に記載していた、土地使用権などを含める工場の固定資産約3・57億元(約59億円)と、従業員に支払うべき退職金計2・16億元(約36億円)について、工場の幹部らは不正流用し、不動産と高級車の購入、子供の国外留学費用、別の私営工場の設立などに使った。国有企業のときの黄維新・工場長がそのまま、民営化された工場の工場長になり、高級車を買い、自己名義で大量の不動産を購入し、子どもを全員国外に留学させ、さらに、200万(約3300万円)以上の自社株を保有している。一方、従業員たちは、民営化する過程で、もらうべき一時退職金が支給されない上、月収は600元(約1万円)しかなく、年金や、健康保険などの福利厚生もすべてなくなった。民営化された10年間で、企業側は4664人の在職従業員のうち、3100人以上の従業員を強制退職させ、その替わりに低賃金の「臨時工」を大量に雇い、11ヶ月間の労働契約しかしない。これらの「臨時工」の生活も、大変苦しい生活をしている。

このような情況において、今年6月25日から、従業員は、座り込みの抗議活動を始め、同工場の会計帳簿を査察するよう求め、一時退職金の支払いなどを要求し続けた。また、現地の政府陳情機構や、公安・検察機構にも事情を説明した。しかし、どの政府部門も、なんら対応してくれなかったという。

同年7月中旬に、工場の幹部は現地のテレビに出演し、「労働者はあくまでも労働者の身分を忘れてはならない。天をひっくり返すなど考えもしないほうが賢明…。私を告訴するなんて、証拠はどうこにあるのか、だれが受理するものか…。前回、某工場の従業員が幹部を告訴したが、勝ったのか。結果はどうだったか、参加者全員が退職させられた。よく反省すべきだ。素直に働くのが一番だ」と発言した。

同月24日夜、現地政府は抗議者代表を逮捕し始め、今回の26日の暴力取締に至った。

事件後、長沙市国有資産委員会の劉剣峰・副主任は、今回の抗議活動は、「違法デモ、抗議、結社」にあたり、「厳しく取り締まらなくては成らない」と宣言した。

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