自民大敗で海外勢が株売り、円高との連鎖安には一応の歯止め
参院選で自民党が歴史的な大敗を喫し参院で少数与党に転落したことで、週明けの東京市場は、政局不透明感から、海外勢が株式売りに動いている。
日経平均は寄り付き直後に200円を超える下げとなり1万7000円割れも視野に入った。ただ、為替市場が落ち着いた動きを示していることもあり、売り一巡後は、売り買いともに手控え気分が広がっている。
金融市場では、今回の選挙結果が経済・財政運営に与える影響を見極めたい、との声が出ている。むしろ、当面の材料としては、米国のサブプライムローン(信用度の低い借り手向け住宅ローン)問題を契機に広がっている信用収縮懸念のほうが関心が高い。
選挙結果は「与党にとって、事前に言われてきた中でも一番厳しい範囲」(みずほコーポレート銀行、国際為替部シニアマーケットエコノミストの福井真樹氏)との受け止め方が一般的。週明けの市場の動きが注目された。ただ、早朝の為替市場では、前週末のNY市場に比べて逆にやや円高に振れた。世界的にリスク資産市場の調整から円売りポジションの巻き戻しが続いており、けさもこの流れを引き継いでいる。
比較的動きがみられたのは株式市場だ。「朝方から、海外勢が先物、現物に売りを持ち込んだ」(外資系証券)という。ただ、この売りは、前週末にNY株が大きく下げているだけに、選挙結果だけが要因とも言い切れない。為替市場が比較的冷静な反応を示しているため、27日のような円の買い戻しと株安が連鎖するような動きにはなっていない。
コメルツ投信投資顧問の山本平社長は「海外投資家の関心はグローバルな市場の混乱にあり、この調整にはある程度の時間が必要だろう」と話したうえで「調整局面が終了した後、世界の株式市場が戻り歩調となったときに、日本の政治的な不透明性が嫌気されて、日本株だけが上値が重くなる場面も考えられる」と指摘している。
債券市場では、既に前週に金利が大きく低下しているだけに、この日は目立った動きはみられない。クレディ・スイス証券、債券調査部長の河野研郎氏は「現在は特に緊急を要する経済政策が議論されているわけではなく、もともと政治動向は材料視されにくい」と話している。