中国江蘇省:太湖環境保護活動家、当局に連行・拷問
【大紀元日本6月2日】中国江蘇省南部に位置する全国第3大淡水湖の太湖は、このほど、汚染および生態問題が深刻化したことで注目されている。この背景として、さらに目を向けるべきことは、ここ数年間太湖の生態保護に尽力し、「太湖の護衛」と呼ばれている江蘇省環境保護活動家の呉立紅氏は、今年の4月に当局に連行され、未だに監禁されていることである。
*汚染問題提起で、地元政府と企業から恨みを買う
米国VOAによると、今年4月13日に地元当局に連行され、宜興市拘置所に勾留されている呉立紅氏は、これまでに、太湖など深刻な環境汚染になった数々の場所の写真を大量に撮影し、当局へ通報し続けた。さらに、汚染に関わる企業200社以上の調査にも関与した。
呉氏は2005年、中国十大民間環境保護傑出人物として選ばれたことから、中国メディアは呉氏を「太湖の護衛」と呼んでいる。また、民衆に中央テレビ局の「感動中国」の候補者にも選ばれた。
呉氏の妻・許潔華さんによると、呉氏は1990年初頭、太湖の汚染に対してひどく心が痛み、当初は身分を明かさずに匿名で当局へ通報の電話をしたという。1998年、中央当局が太湖を保護することを発表してから、呉氏も安心して表に出た。呉氏は、メディアに協力し、汚染をもたらした企業調査に乗り出したことから、地元政府および汚染企業らからの恨みを買ったとみられる。
*地元当局、強制連行してから罪を擦り付ける
許さんによると、4月13日夜、地元公安は強制的に呉氏の自宅の窓をこじ開け、身元証明書や書類は一切提示せず、理由の説明もない状況下、呉氏を強制的に連行し、許さんに対して「公務妨害」の罪で、同時に連行したという。のち、呉氏は地元当局に対して、金銭を強請り取ったとの罪に擦り付けられた。許さんは、すべてが地元政府関係者が仕掛けた罠だと主張した。
*太湖藻類大量発生、事実が真相を語る
一方、地元の周鉄鎮の呉錫金・鎮委書記は呉氏の通報は嘘であると言い放ったが、許さんは、ここ数日間、太湖に藻類の異常発生が真実を語ってくれたと強調した。
*呉氏は公安に拷問された
数日前に、許さんと朱小燕・弁護士が宜興市拘置所へ呉氏に面会したときに、公安が木の枝で呉氏の背中をたたいて、拷問したことが初めて分かった。朱弁護士によると、面会時に、呉氏の両腕にまだ傷が残っていることに気づき、5月31日に裁判所に対して、ケガの状況を調べることを申し入れたという。
最近、深刻化した太湖の生態問題が騒がれたことは、呉氏の裁判にとって有利になるかどうかについて、朱弁護士は「少なくとも、呉氏は嘘をついていないことが証明される。しかし、太湖のアオコの異常発生と呉氏が起訴された案件の中で、本人が提供した材料とは異なるため、両者間の関係付けは難しい。また、この案件に対してどう影響するかも分からない」とコメントした。
*民間より解放を呼びかけ
独立作家の●愛宗(ツァン・アイゾン)氏は5月31日に、当局に対して呉氏の解放を呼びかけた文章を発表した。ツァン氏は、中国は現在ある現象が現れており、すなわち、人民の権利および環境保護を主張する人々は、地元の問題を暴けば、必ず災いを招くことだとし、呉氏がいい例であると指摘した。(●=咎の口を日に替える)
ツァン氏は「地元の問題を暴けば、関係者は容赦しないで必ず報復する。地元当局は管轄外からの通報を無視するが、地元で問題を暴き、深入りすると非常に危険な目に遭う」と指摘した。
一方、許さんは1ヶ月前に、夫・呉立紅氏の代わりに北京の中級人民裁判所を訪れ、国家環境保護総局に対して、宜興市の「環境保護模範都市」の名誉称号を取り消すよう提訴したが、裁判所側は受理しなかった。
朱弁護士によると、呉立紅氏の訴訟事件は6月12日に審理が行われるという。