中国江蘇省無錫市、太湖の汚染で生活脅かされる市民
【大紀元日本6月2日】中国江蘇省無錫市で5月29日に発生したひどい悪臭で水を飲むことが出来ないという水質問題は、その翌日に大陸メディアで報道された。
これと同時に市街区の大型スーパーに並ぶ精製水が一斉に売り切れた。市民たちは汚染された水で料理し、健康を害することを心配して先を争ってそれ以外の飲料も大量に買い込み、さらにパンなどの食料品を買うために列を作った。
インターネットの掲示板情報では、現在、スーパーの水は売り切れており、8元(人民元)の水が5、60元にまで価格が高騰しているという。家庭の水道水は異臭を放っており、それは単なるカルキ臭ではなく屋内の井戸の底に堆積した泥のような悪臭を放っている。翌5月30日、臭いはさらに酷くなり、手を洗えば手が臭くなり、口を漱ぐことさえできない、料理した物も口に入れることが出来ないほどの臭い。おまけにスーパーの水の値段はすごい勢いで上昇している
飲料水を買いあらそう市民ら(AFP)
飲料水を買いあらそう市民ら(AFP)
上、すでに売り切れているという。
「水道水は危機に陥っている、我々無錫は悪臭都市に変わってしまった。頭を洗えば頭が、歯を磨けば口が足を洗えば足、入浴すれば全身が臭くなり、全市民が悪臭まみれになっている。…これは主要な問題ではない、我々が最も不安に思っているのは何時正常な生活に戻れるかということだ」
水道局、打つ手なし
無錫市水道局は臭水汚染を認め、「この問題は朝晩に起こるらしく、現在、太湖の水質だけに問題がある。今回の汚染は深刻で、浄水器や活性炭、強酸化剤を使用しても効果がなく、なすすべがない。市民に対しては、しばらくの間、精製水の使用を勧めること位しか出来ない」と伝えている。また、解決の見通しが立たないことから、まさに打つ手なしのお手上げ状態。
これと同時にこの臭水汚染は以前から予想していた事であり、原因としては、太湖の水質汚染が今に始まった事ではなく、特に今年は藻類の発生がひどく浄水作業をしても基準値に戻すことが難しい、状況は非常に深刻で、現在の汚染数値は数十倍も上回っているためと当局は認めている。
ある報道では、今になって無錫政府部門は対策を急いでいるが、いまだ政府からの汚染事件の声明はだされていない。
ネット掲示板で、政府職員に辞職を引責
臭水問題が始まって以来、ネット上では熱い論議がされると同時に「政府は市民の死活問題を考えているのか。これに対して責任を取る人間がいるのか。誰が処罰をうけるのか。中国の環境は日増しに悪化しているのに、中央政府は見てもいない。政府職員は引責辞職すべきだ!!」さらに水が飲めないことから、今後さらに飲食、衣服、日用品に問題がでてくると指摘している。
情報によると、政府部門は、太湖の管理のためにこの10年で90億人民元を費やしているという。ネットの掲示板では「太湖管理にこんなに長い年月と金をかけているのに水が飲めないなんて……。」「我々は水道代を納めているのになぜこんな水を飲んでいるのだ?こんな臭水になぜ金を取られるのか」と直言している。
アオコで汚染された太湖水源
ある関係指導者が「水道水は国家の基準に達している」と話したところ、すぐさま「国家基準の水道水がこんなに臭いのか。ありえない。いまだにこんなことをいう人間がいるのか。この悪臭を放っている水を直接飲んで見たらいい」と攻撃されたという。
無錫の毛小平・市長は現在英国におり、さらに同の楊衛澤・市委員会書記は6月2日に米国訪問に向かう。ネットの掲示板では、現在英国にいる無錫市長に対し「毛小平氏は現在テムズ川を船で漂っておられる。遠く離れた故郷の無錫市民に国際電話で慰問の意を表して頂きたい」「臭水事件を利用した水の価格引上げは民族の裏切り者だ。だが彼らは二番にすぎない、一番の裏切り者は誰か。人によって見解はさまざまだ」という風刺的な言葉が掲載されている。
60年代の飢饉に比べてもひどい状況
「水を得るのにいくら必要なのか。天下は政客と商人のものではない、今まさに市民たちは水を飲めないだけでなく食べることにも困っている。無錫の、60歳以上の老人の所へ行って聞いてみたらいい、彼らは無錫が臭水で水が飲めなくなるなんて夢にも思っていなかっただろう。60年代の飢饉では多くの死者が出たが水だけは足りていた。現在の状況はあの飢饉の時代にも及ばない、これでは社会が進歩したのか後退したのか分からない」。
あるネットユーザーは今の臭水を指摘し「GDP換算したら。……」と直言し、またあるユーザーは今無錫は行き詰っており、生存にかかわるとし「これは工業汚染の結果である。国民が関心を寄せるべきはGDPがどうこうという事ではない。これら役人と財を望むだけで人民の死活問題を顧みない人間はいわゆる企業家だということに気付くべきだ」と伝えている。
無錫の水質は1週間以上も前から問題が現れてきており、ある市民は水を飲んだ後、嘔吐と下痢をし、その子どもは3日間入院したという。この市民は、この件で政府当局に記者会見を提案し、関係部門の責任者に、いかにして住民の正常な生活を保証できるのか、納得のいく説明を求めた。
夏を迎えたら…
多くの市民は憂鬱になっている。今はまだ5月だが、夏場の心配も深刻だ。「あ~~、もう3日、水が臭くなって3日もたった。歯磨きも洗顔も精製水を使っている。水道水で手を洗えばずっと臭いままだし、いつになったらきれいな水が蛇口から出てくるの。お役人さんたちはなにしてるの」「徐々に消えてもいかないし、鼻について堪らない!一度嗅いだら、吐きたくなる臭いが出てくるから思い切って蛇口をひねることもできない。だからミネラルウォーターで歯磨きと洗顔をしている。この服も洗ったら臭くなって着れない……こんな生活、い
(ネット公開写真)
つになったら終るのだろう」。
ビデオ:太湖水源汚染、無錫市民、水パニック(新唐人テレビニュース)
(大紀元記者・浦慧恩 総合報道)