中国、米のスーダン制裁措置に否定的
【大紀元日本5月30日】米政府は29日、ダルフール紛争をめぐりスーダン政府に対し新たな制裁措置を科し、国連安全保障理事会によるより厳しい制裁決議案の採択も求めていくと発表したが、スーダンを支援する中国は、米国のスーダン政府への制裁強化に否定的で、米国政府に対し、スーダンのダルフール地区での衝突を解決するには更なる忍耐が必要であると求めた。また、中国はスーダンへの投資について、スーダンの和平に有益であると主張している。中国は、国際社会から、ダルフールで起きているジェノサイド(大量虐殺)の影の支援者と非難され続けている。
米国VOAによると、中国の劉貴今・首席外交官(アフリカ担当)は、「バシール政権のダルフール地区での行為に対し、さらなる制裁と圧力をかければ、この地区の衝突をさらに複雑化させ、解決困難になる」と主張している。
ダルフール地区での殺戮行為を停止させるために、米国政府は、スーダンの企業と政府関係者に対する制裁実施を呼びかけている。
米国は英国と共に、国連にスーダンへの武器禁輸などの国連安全保障理事会制裁決議案を提出する。スーダン政府高官や政府関連企業に米金融機関との取引を禁じる新たな制裁措置を科し、ダルフールだけではなく、スーダン全域に対する武器禁止令の延長を提案するという。
一方、中国の劉首席外交官は、スーダンおよびダルフール地区への5日間の訪問を終え、先週に中国に戻った。同外交官は、米国のこの新しい制裁案の必要性に疑問を呈した。
中国当局はスーダン石油の主要購入者であり、スーダンで使用される武器の最大の提供者でもある。国際社会はこれまで、「中国当局はスーダン国民の流血衝突を無視し、石油利権のために、バシール政権を援助し、国連の制裁措置に抵抗している」と非難してきた。
劉首席外交官は、中国当局によるスーダンでの石油産業への巨額の投資について、「貧困と資源の不足は、スーダン国内の各種の衝突を招いた主要な原因である、中国による石油産業への投資は平和を促進できる」と発言した。
一方、スーダンのバシール政権は2000年代に入り、石油輸出で得られた巨額の資金を武器購入に充て、ダルフール地区の紛争に介入していることから国際的な非難を浴び、「国内のダルフール地区での少数民族への大規模の虐殺と集団強姦を行う民兵組織を支持している」と指摘されている。
国連の統計によると、ダルフール地区において、4年間の戦乱中に、20万人が命を失い、200万人以上が家を失い、放浪生活を強いられているという。
2003年初頭、ダルフール地区の2つの反政府組織、「正義と平等運動 (JEM)」 と「スーダン解放運動 (SLM/A)」 が、スーダン政権のアラブ系による非アラブ系への抑圧や、資源分配や行政はダルフールの無視したものと非難し、反乱を起こした。それに対しスーダン政府は空爆などでアラブ系民兵ジャンジャウィードの非アラブ系への襲撃を支援した。ジャンジャウィードは非アラブ系への大量虐殺、略奪、組織的強姦などの重大な人権侵害で訴えられている。