中国ネット封鎖の実態

【大紀元日本5月8日】国連機構が主催するシンポジウム「市民記者:言論の自由手段、インターネット」が5月3日、ニューヨーク国連会議室で開催された。80人収容できる会場に国連関係者およびメディア報道関係者たちが詰めかけた。

博訊ネットの創始者・韋石氏と同ネットのブログ開設者で、ペンシルベニア州フィラデルフィア市ドレクセル大学(Drexel University)商学部の謝田教授は、来場者に中国インターネット利用者に関連する資料を示しながら、中国当局の情報統制とその被害者について説明した。来場者たちの関心は強く引き寄せられ、質問が絶えなかった。

*中国当局のブログ封鎖および逮捕

韋氏は、2000年にマイ・スペースやユー・チューブなどを利用し、低コストと中国国民から提供された情報により、より早く中国国内の真相情報をリアルタイムで報道することができたと説明した。韋氏は、中国共産党(中共)はこれまでに博訊ネットのウェブサイトを封鎖したり、博訊ネットへ情報を提供する者に対して、懲罰を与えたりしており、強いては博訊ネットが利用している海外のサーバーへ圧力を掛け、博訊ネットが使用できないように1日停止させたこともあったという。これに対して、博訊ネット側は法的手段に訴え、中共当局がようやくネット使用を回復させたと、同サイト創設の経緯と中国の情報統制を紹介した。

博訊ネットの創始者・韋石氏(大紀元・徐竹思)

韋氏は3人のブログ開設者の写真を来場者に見せながら、中共当局に「国家政権転覆罪」として、投獄された実例を挙げて説明した。

・山東省出身の黄金秋さん、ペンネーム「清水君」。ネット上で政府を批判する文章を発表し、「中国愛国民主党」を仮設したことを理由に2004年に、12年の有期懲役に処せられた。

・元「福州日報」取材部の李長青・副主任は2005年、博訊ネットで政府当局に対し、デング熱疫病情報の隠蔽を譴責したとして3年の懲役刑を言い渡された。当時、博訊ネットでデング熱が報道されてから、政府当局はようやく疫病は福州で発生したことを認め、すでに1ヶ月間隠蔽し続けていたという。

・中国四川省重慶市の黄_qii_さんは、ブログでの尋ね人コーナーで行方不明者が「六四天安門事件」に拘わっているだけで、強制連行され非合法に3年間監禁されたのち、2003年5月に5年の懲役刑を言い渡された。

*中国と自由国家、相違するサイト内容

一方、中国にいる謝教授の母親は、同教授が博訊ネットに開設したブログを見ることはできないという。謝教授は、中国大陸内および自由国家で見られるそれぞれのウェブサイトをスライドで紹介し比較した。謝教授によると、中国のウェブサイトは多様多種だが、ポルノと暴力が絡むものがほとんどであると指摘した。一方、自由国家のウェブサイトでは、歴史、文化および「九評(共産党についての九つの論評)」が引き起こした脱党運動の波とファールンゴン(法輪功)など、中共当局が中国人に知らせたくない情報など幅広く及んでいる。

謝教授は、中国全土にわたる膨大なインターネットを有するにもかかわらず、国外と接続できるのは北京、上海および広州の3箇所だけだと指摘し、中共当局はまさにこの3箇所に対して情報を封鎖し、中国のインターネットを厳しく制御し、国外と隔離させていると分析した。

謝教授は「面白いことに、中共は自らのウェブサイトを封鎖したこともある」と指摘した。スライドに映し出された写真は、2002年6月に、貴州で発見された2・7億年前から生成された岩が500年前に断層が生じ、割れた一面に「中国共産党亡」の模様が現れている報道だった。中共当局は一時、「亡」の字を隠し大々的に報道したが、のち、海外のメディアに指摘されてから、関連ウェブサイトを封鎖したという。

謝教授は、民衆が中共当局のネット封鎖に対して、突破しつつあることおよび中国国内のウェブサイトで絶えずに増えつつあるブログの開設に言及した。また、世界インターネット自由協会(Global Internet Freedom Consortium,IFC)は、努力によって、近いうちに封鎖を突破する最新技術の開発によって、最終的に中国ないし世界のインターネットでの自由表現が実現されることが、最も人心を奮い立たせることだと語った。

*開催が危ぶまれたシンポジウム

「国境なき記者団」ニューヨークのタラ・ドゥラサハイ(Tala Dowlatshahi)主任は、中国が言論の自由を踏み躙っていることに言及し、メディア関係者に配布した資料の中に、5つの手錠でできた五輪のシンボル、「北京は五輪を開催?」および「中国は人権侵害のゴールド・メダルを獲得」が印刷されている。

一方、エジプトから来たノラ・ヨーニス(Nora Younis)さんは、来場者たちに対して、同国のインターネットの自由利用を支援するよう呼びかけた。一部の国連関係者およびネット運営作家たちは、ネット封鎖は中国のほかに、一部の国においても同様な問題が存在しているとし、問題になった国々はまさに国連内部で「権力を握っている」と指摘した。

米駐国連代表クレラ氏は、国連では人権侵害が発生している国々に対して、適切な措置を講じることができなかったことを認めたと同時に、今回のシンポジウムの開催も各方面からの圧力があったとし、一時開催が危ぶまれたことを明らかにした。しかし、今回は実際に成功した上、多くの関係者の参加を得て、障害を突破する努力は功を奏し始めたとの見解を示した。

シンポジウムのコーディネータで「ロサンゼルス・タイムズ」コラムニストのブリジット・ジョンソン氏は、国連人権委員会のメンバーに、中国など人権侵害を容認する政府が含まれていない時が来ることを信じると強調した。

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