米政府人権報告書:中国ネット情報統制による人権悪化

【大紀元日本5月1日】米民主主義・人権・労働局(Bureau of Democracy,Human Rights and Labor)は今年の3月6日、2006年各国についての人権報告を発表した。報告では、中国の人権状況は悪化し続けていると説明しているが、インターネットによる情報統制においての人権状況も悪化している。

*情報統制の強化

ライス米国務長官は3月6日、国務院での報告会で2006年度各国における人権報告を発表し、内容を紹介した(AFP)

中国共産党(中共)のインターネット・ネットワーク情報センター(Internet Network Information Center)が2006年末に発表した報告によると、大陸のネット利用者はすでに1億4千人に達しており、大多数がブロードバンドを利用しているという。しかし、中共当局は民衆に対して、ネットの利用を広げると同時にネット監視措置も実施し、インターネット内容をコントロールし、情報伝達を統制している。さらに、規定に違反した者に対する懲罰も行っているという。新たに実施された措置は、これまでよりも厳しいウェブサイトの登記規定によって、当局がネット内容の統制を強化し、規定違反の定義を広げた。

中共当局はインターネット・システムを制御し監視するために、数万人を動員して、中国のネット利用者に利用してほしくないサイト、例えば、台湾独立、チベット独立、地下宗教、精神的団体組織、民主活動家および1989年の天安門虐殺事件などの閲覧できないよう封鎖している。その他、当局は時として、重要な海外報道、健康団体および教育機構が運営するサイトも封鎖している。また、重要な政治事件および敏感な日の前後には、中共当局が封鎖するサイト数が急増する。

中共当局は多くの高度技術を採用し、すべてのサイトを封鎖するのではなく、特定の内容および電子メールを選択し封鎖する手法を取るようになった。中共側は電子メールの受信者を提訴せずに、発信者を拘束するのである。また、ネット利用者は公共図書館でインターネットを使用する際、身分証明書を提示し登録する規定に従わなければならない。公共図書館のすべてのネットワークの端末は監視されている。

当局の情報工業省(Ministry of Information Industry)はインターネット・ネットワークの使用規範を担当し、公安部(Ministries of Public and State Security)は監視を担当する。規定によると、中共当局が定めた国家の安全を破壊したり、国家を中傷したりする内容がすべて禁止項目に入るという。

中共当局はインターネット・サービス・プロバイダー(Internet service providers,以下、ISP)は、国内メディアの報道や、記録情報および利用者を追跡し、ネット利用の頻度、電子メールをコピーするソフトの設置及び、いわゆる破壊的な情報伝達がなされると切断する作業のみを行うと規定されている。また、多くのISPは、中共の規定に違反しないよう、自己監視システムを実施しているという。

*ネット利用者は勾留または監禁された実例

次は2006年にネット上で意見を発表し、勾留または監禁されたネット利用者の実例:

2006年1月:「福州日報」記者兼ネット作家の李長青氏は、「人騒がせな言論情報を伝播した」として、3年の刑を言い渡された。李氏はネットで文章を発表し、中共高官・黄金高氏の腐敗を指摘した。

同年3月:「国家権力を転覆する」の罪名で、10年の懲役を言い渡された任志遠氏。任氏はネットで、人民は各々激しい手段を用いて暴政を覆すことは可能だとし、反体制党派「本土民主前線」を設立することを示唆した。

同年5月:ネット作家の楊同彦(楊天水)氏は、海外のウェブサイトで中共に対し、体制批判者の解放を呼びかける文章を発表したため、12年の懲役を科された。もう1人が5月に高智晟・人権弁護士の支援に参加する予定のネット作家・郭起真氏は、ネット上で人権運動を支持する文章を発表したため、9月に「国家転覆を扇動する」の罪名で、4年の懲役および公民としての権利を3年間履行できないことを言い渡された。

同年8月:北京に本拠を置く「中国海洋報」杭州局の●愛宗(ツァウ・アイ・ツォン)主任は、中共当局が周辺の教会を破壊したことを非難したため、勾留された。●主任は釈放後、勤務先に解雇された。(●咎→口を日に代える)

もう1人のネット作家の_deng_永亮氏は、人権活動家・陳光誠氏の裁判を報道したため、山東省で拘束された。_deng_氏はのち釈放されたが、CDおよび携帯電話は当局に押収された。

同年10月:ネット作家の章建宏氏が逮捕され、「国家転覆を扇動する」の罪名で起訴された。

一方、中共当局は昨年、ネット業界に対して、「中国インターネット業界自主規制」に同意するよう強要し、数百社の企業がそれを受け入れた。受け入れた企業の中には、新浪ネット、捜狐ネット、ヤフーの中国側パートナーのアリババ(Alibaba.com)などのネット企業が含まれており、「違法または迷信や猥褻な内容の散布」はしない、「国家安全を脅かしおよび社会秩序を乱す悪質情報の作成、アップロードまたは伝達」を抑制することを承諾するとの内容である。

中共側の裁判所書類によると、ヤフーは個人の電子メールアドレスなどを含む個人情報を中共公安当局へ提供しており、中共側は当該情報を使い記者の師濤氏に対して、国家機密を漏洩する罪で起訴した。これに対し、ヤフー側は中共の規定に従い、要求された情報を提供したと主張した。

昨年4月9日、新浪ネット、捜狐ネット、百度(Baidu)ネットおよびヤフーの中国法人計14社の主要インターネット・ネットワーク企業が連名で、ネット業界に対して、猥褻および有害な情報を監視し、胡錦濤・総書記の計画を伝播し、本土を愛する思想を奨励することおよび中共政権の監視管理を受け入れる提案を発表した。

中国の検索エンジン、例えば、百度ネット、MSNおよびグーグルでは検索時に検閲が行われており、VOA(アメリカの声)やRFA(ラジオ自由アジア放送局)の報道内容を含み、人権に関連する内容が検閲の対象となっている。また、新浪ネット、捜狐ネットにおいて昨年、同社の検閲技術が敏感な情報を百パーセント検知できないことが判明し、検閲のグレードアップのために、中共当局に数日間閉鎖された。昨年7月の中共当局の統計によると、政府に閉鎖されたインターネット上のブログは約700件に上るという。

(記者・呉達)

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