【季節のテーブル】2月の金柑少年
ぽかんとお口が開いて、甘露な雫が喉元に落ちてきます。キンコンカーンと、音がしたようでした。学校の始業ベルが頭の中で鳴ります。少年の息はとぎれて、羽ばたくように震えました。早く学校へ行かなくてはと、心臓が早鐘のように打ちました。
真っ白な母鳥が卵を孵(かえ)して、少年の胸に置いてくれたようでした。少年は胸にそっと抱いて、ヒナを温めました。するとあれほど激しかった熱が、潮のように引きました。誰の仕業だったのでしょうか?少年の胸元から、一羽の金冠色の鳥が巣立ちます。「ぼくはきっと、いいことをしたから、病気が治ったのだ」と少年は思いました。こんな思いは母のお蔭です。少年にもちょっぴり、それは分かりました。けれども恥ずかしかったのです。
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