在日華僑の子供たちの嘆き - もう中国には行きたくない!(上)
【大紀元日本2月6日】共産党政権が中国本土を制圧してから58年、日中国交正常化から35年が経過した。中共政権が支配する国で生まれ育って、この30年ほどの間に自ら渡日した華僑の親たちにとって懐かしい故郷である中国も、日本で生まれ育った子供たちにとっては、あまりにも酷く、とても理解できない、二度と行きたくない国と映ることが少なくないようである。中国語新聞紙「中文導報」が報道した、そのような華僑の子供二人の体験を2回に分けて紹介する。
―――
「国際的大ばか者」
13歳の張亮くん(仮名)は日本生まれ。2、3年ごとに一度、父母に連れられて故郷を訪れている。祖母の家では最も歓迎されていると言ってよく、いとこたちとも仲が良い。張亮くんの父母はともに中国人であり、家の中では中国語で話をするので、張亮くんにとって中国語での交流には何ら支障がない。しかし、今年の元旦に帰郷してから日本に戻った後、彼はもう二度と中国へは行きたくないと思った。そのきっかけは、中国滞在中にいとこたちから「国際的大ばか者」というあだ名をつけられたことにあった。
張亮くんは言う。「学校での生活や成績はどうかな、とおばあさんに聞かれた時、学校のサッカーチームに参加していることを話し、勉強は努力したけど成績が良くなくて、下から3番目だったと答えたんだ。するとおばあさんがサッカーチームには何人参加できるの、とたずねたから、参加したい人は誰だって参加できるよ、と答えた途端、いとこたちは僕のことをばかだと笑ったんだ」。
張亮くんは決まり事をよく守る子供である。ゲームセンターへ行った時、「小中学生入場お断り」と書かれた掲示が貼ってあった。いとこたちは中学生だが、そんなことお構いなしに遊んでいた。店の主人も見て見ぬ振りだった。しかし張亮くんは掲示に書かれたことを守り、遊ばなかった。いとこたちが何を言っても、彼はいっしょに遊ぼうとはしなかった。また、3人で一緒に遊園地に行って、列車に乗ろうとしたら、座席に二人しか座れないと書かれてある座席がただ一つだけ空いているのを見つけた。でも子供なので詰めれば3人乗れると管理人は考え、3人を連れてきた叔父も、3人とも詰めて乗るように勧めたが、張亮くんは乗らず、30分後に来る次の列車を待つと言って聞かなかった。そこで叔父は仕方なく、すでに乗っていた二人を降りさせ、次の列車が来るまで30分待った。いとこたちは、意味のない、検査係員に見せるためだけの規定を律儀に守る張亮くんはあまりにもばかだと、嘲った。
さらに、張亮くんの叔父が息子たちも含めて3人を連れてマクドナルドへ行ったときのことである。いとこたちは先に座席を取りに行ったので、叔父は張亮くんを注文の順番待ちの列に並ばせ、用を済ましに行った。その後叔父が戻ってみると、張亮くんはまだ元の場所に立っていた。彼の前にはたくさんの人が横から割り込み、彼が前に詰めなかったので元の場所に留まらざるを得なかったのである。いとこたちは「列に並ぶこともできない」張亮くんに首を振りながら、こっそりと「国際的大ばか者」というあだ名をつけたのである。
―――
決まりごとも守らず、順番を守らない人を非難しないどころか、むしろ逆に横入りされて困っている張亮くんに「国際的大ばか者」とあだ名をつける中国育ちのいとこたち。中国共産党自らが国の法律に違反して、汚職官僚によって土地を奪われた失地農民や、民主活動家や、法輪功学習者など、法律を守って活動している大勢の人たちを弾圧しているという社会環境の中で育った彼らの目には、法律をはじめ、社会における決まりごとを遵守することは自らを滅ぼす行為と映っているのかもしれない。母親は中国へ行くのをいやがる張亮くんに「いつかきっと中国人もあなたのようになる」と言ってなだめたが、共産党の支配が続く限りその日が訪れるとは、とても思えない。